出演者の顔も出さないポスターが斬新で、妻たちがダンナに抱いている憤懣を書き付ける「旦那デスノート」なるサイトの設定が面白そうと思えたのだけれど、ほとんど出落ちに近い扱いで調子が狂った。
つまりダンナ(香取慎吾)が自分のことを書かれていると気づかないところでかなり笑いをとれると思うのだが、割りとあっさりわかってしまう。
自分のことだとわかる、やっていることに自覚があるのだったらかなり症状軽いのではないかと思えたし実際そのあたりの無神経さの具体的な書き込みは薄い。
また他人のふりをしてレスをいれたり、知っていて妻の岸井ゆきのに探りを入れたりといったプロセスがあって当然だし、あれば笑いとれたと思うのだが、これまた淡白にもすっ飛ばしてしまう。
相手が読んでいるのを承知の上で日記を書く話というと谷崎潤一郎の「卍」なんてあったが、ああいう人間の生っぽい襞をイケズにひっぺがすといった趣向はおよそない。
代わりにあるのは香取と岸井の出会いからのなれそめとか、デスノートを出版しないかといった出版社の人間の働きかけとか、レジ袋の扱いとか、膨らませ方がどうもとっちらかっていて、いちいち伏線を回収している風なのもかえって散漫になっている。
余貴美子の香取の同僚のおばさんが出るたびに何かしら面白いことをするか見せ方が面白い。