prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「シャット/アウト」

2019年03月12日 | 映画
女が気が付いたら狭いガレージに閉じ込められていて、自動車から排気ガスが出ている、携帯で外部の何者から電話がかかってきてあれこれ謎めいた指示を受ける中どうやって脱出するか、電話の相手の目的は何かという、場面も登場人物も極端に限られた低予算向け発想によるスリラー。

この手の映画だと脚本の練りと意外性、限られた空間でどう変化をつけるかという演出の手腕が問われるわけだけれど、共に今一つ。

鉱山のカナリアという図を文字通り出したのは逆に珍しい。

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3月11日(月)のつぶやき

2019年03月12日 | Weblog

「ヒトラーに屈しなかった国王」

2019年03月11日 | 映画
ノルウェー語原題はKongens nei、英語でいうKing's choice=王の選択で、邦題にヒトラーをつけたのはその「人気」にあやかってのだろうが、かなり誤解を招く結果になった。
おしなべてヒトラーやナチスをつける邦題多すぎ。軽く考えているのではないかと疑いたくなる。

「屈しなかった」というと何だか勇ましく華々しい感じだが、ノルウェーのような小国がナチスの圧倒的な戦力の前に屈しないでいられるわけがなく、どう負けるか、負けるにしても後に禍根を残さない負け方は何かの苦渋の選択を自らに課す苦悩がドラマの眼目。

民に支えられているという自覚を持った王が民主主義を率先して守ろうとする図というのは不思議に普遍性を持つ一方で、本来分離したはずの王の政治への介入になってしまうというねじれがある。

ドイツ公使がノルウェー生まれのせいもあるがナチスとは一線を画して平和主義的に降伏を呼びかけるあたりもねじれている。

ヨーロッパ各国の王家が分家本家が入り乱れているみたいなのを冒頭の字幕で示されで、少し調べてみないとと思った。

「ヒトラーに屈しなかった国王」 - 公式ホームページ

「ヒトラーに屈しなかった国王」 - 映画.com


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3月10日(日)のつぶやき

2019年03月11日 | Weblog

「移動都市 モータル・エンジン」

2019年03月10日 | 映画
あれ、宮崎駿じゃないと思うところ多し。動く城ならぬ動く都市もだが、飛行機のレトロがかったデザインもそうだし、飛行物体から眼下の雲海を見下ろす会話シーンのアングルとかデジャヴを起こすくらい。

ただ奇想なデザインというのは割とすぐ慣れるもので、クライマックスになると「スター・ウォーズ」も当然入る要塞攻略もののパターンになる。

登場人物が多くて因果関係も複雑で、これは原作があるのではないかと思ってたら案の定(フィリップ・リーブ)。
一番強大な移動都市がロンドンというのは原作者がイギリス人だからというのと、帝国主義時代のイギリスが世界を食い物にしたアナロジーなのかと思った。

いちいち回想シーンをはさんで事情を描く脚色はあまり上手には思えず、ヴィジュアルの壮大さは映画館向けだけれどストーリーは連続ドラマ向け。

ラスボスのスティーブン・ラング(「アバター」の軍人や「ドント・ブリーズ」のやたら強い爺さま)以外は馴染みのないキャスティングだが、ヒロイン役のヘラ・ヒルマーという人は覆面をしている時の目力の強さから引き付けるものがあって、とれた時に顔にすごい傷跡があるのに女優でこういうメイクをするのはかなり勇気がいるのではないかと思ったし、見慣れていくうちに傷が気にならなくなり美人なのがわかってきて170センチの長身が恰好いい。
1988年アイスランド生でロンドンの演劇学校で学んだとのこと。

移動都市の住人に東洋系含めてさまざまな人種が混ざっていて、上層の方に白人が多くなる

「移動都市 モータル・エンジン」 - 公式ホームページ

「移動都市 モータル・エンジン」 - 映画.com

3月9日(土)のつぶやき

2019年03月10日 | Weblog

「ビール・ストリートの恋人たち」

2019年03月09日 | 映画
なんとなく黒人の色彩感覚というと原色を多用した派手派手しいものと思ってしまっていたのだが、「ムーンライト」といい、これといい、バリー・ジェンキンス監督作とのカラーリングはなんともいえない柔らかく光が差しているような色合い、画調を出しているのが大きな魅力だし、黒人とひとくくりできないさまざまな感覚があるのを知らされる。

オープニングで出てくるカップルの着ている服が、同じようなブルーとクリーム色を上着と下のシャツで配色を逆にしているあたりから、色彩設計の綿密さはすでに明らかになる。

法の執行者が完全に敵にまわっていて警官が黒人をあたまから犯罪者扱いにする理不尽さ、刑務所に収監した人数が多すぎて冤罪の主張が無視され、むやみと長い刑期を務めなくてはいけないなど、社会派的なポイントは多いのだが、それらはやや背景に沈めて男女間、親子間のさまざまな形のラブストーリーとして叙情的に描かれる。

原題はIf Beale Street Could Talk もしビール・ストリートが話せたら、だが、ストリートの壁にしみついた赤い染みが何事かを語っていたりする。

エンドタイトルに流れるBilly PrestonによるMy Country Tis of Theeは1977年のロバート・アルドリッチ監督の映画「合衆国最後の日」の主題歌でもあるけれど、ピルグリム・ファーザーたちから始まった国という歌詞が奴隷として連れてこられた黒人たちにとっては皮肉に見える。

「ビール・ストリートの恋人たち」 - 公式ホームページ

「ビール・ストリートの恋人たち」 - 映画.com

3月8日(金)のつぶやき その2

2019年03月09日 | Weblog

3月8日(金)のつぶやき その1

2019年03月09日 | Weblog

「ローマンという名の男」

2019年03月08日 | 映画
デンゼル・ワシントンが前半人権派の弁護士のようだったのが後半あれあれとそれを裏切る展開になり、さら自懲の要素も加わってきて、それらをひっくるめて説得的に演じているのが役者としての腕の見せ所。

演出の方が舵をとりきれていない感じがあって、展開が計算づくなのかどうなのか曖昧なため着地が決まらない感じなのは残念。



3月7日(木)のつぶやき

2019年03月08日 | Weblog

「おじいちゃんはデブゴン」

2019年03月07日 | 映画
原題は「我的特工爺爺 The Bodyguard」で、サモ・ハン・キンポーの元凄腕ボディーガードで今は認知症が入った老爺がナメてた連中を叩きのめすのがお楽しみなのだけれど、前フリにアンディ・ラウが出てくるのがなんだか収まりが悪い。

元プロらしく相手の骨や関節を破壊して完全に戦闘能力を奪うのが生理的にぞわぞわする。

「おじいちゃんはデブゴン」 - 公式ホームページ

「おじいちゃんはデブゴン」 - 映画.com


3月6日(水)のつぶやき その2

2019年03月07日 | Weblog

3月6日(水)のつぶやき その1

2019年03月07日 | Weblog

「半世界」

2019年03月06日 | 映画
稲垣吾郎が代表する炭焼きの世界と、長谷川博己が代表する自衛隊が出て行くような世界がそれぞれあって、いうのがタイトルの半世界の意味なのだろうが、小さい世界と大きい世界の対照というのか、表裏一体なのか必ずしも世界観がきっちり説得的に描けているかというと首を傾げたくなる。

阪本順治としてはゲバラや金大中や北朝鮮(と名指しはしてなかったが)の侵攻などの大文字の世界を描いてきたのを踏まえた上でそれともうひとつ小さな世界との対照に踏み込んだのかもしれないが、炭焼き周辺などそれ自体ミクロコスモスになりうるモチーフだと思うのだが(実例として「ニッポン国古屋敷村」)、それほど映像して強く世界の感覚が出ていない。

稲垣吾郎が落ち着いた感じで炭焼きの世界に溶け込んでいたのは良かった。池脇千鶴の童顔のままのおばちゃん感もいい。長谷川博己のアクションシーンが体技とはまた別に今一つで、アクション演出は相変わらずよさそうであまりよくない。

「半世界」 - 公式ホームページ

「半世界」 - 映画.com