森見登美彦のベストセラー小説「四畳半神話大系」と劇団ヨーロッパ企画の人気舞台「サマータイムマシン・ブルース」がコラボレーションした小説「四畳半タイムマシンブルース」をアニメ化したらしい。
らしい、というのは、前者は見ているけれど後者は映画化でしか見ていないから。まあ色々とコラボしていて、全部心得た上で見るのは大変。
ものすごく時代がかったクーラー(冷やすだけなのでエアコンではない)のコントローラー、飲みかけのコーラ、シャンプー、風呂の入りかた、開かないトイレのドアなどなんでもない日常的なディテールがタイムトラベルの原因と結果がこんがらがる中で全部きちんと位置付けられて回収されるのが舞台劇的で、アニメとしては派手なアクションよりキャラクターの演技と京都の古式とモダンな感じが混ざった絵柄と美術の魅力で見せる。
ディズニー+で六本のシリーズものとして配信されているのだが、見たのは劇場版。それから配信の初めの方を見返すと、あ、これが伏線になっていたのかとわかる。
タイム・パラドックスの矛盾の結果で一番壮大なのは、フレドリック·ブラウンのショートショートにある一個の分銅を存続させる代わりに宇宙全体が消えてしまう、というのがあるけれど、そこから出発して膨らませたような話。
宇宙が消滅するかどうかというこれ以上ない壮大な設定と四畳半アパートのドタバタとが同居している。
ヒロインの明石さんのつれない感じがいい。