この事件は、東両国の見世物小屋で起きた殺人事件に関するものだ。この見世物というのは、讃州志度(現在の香川県さぬき市大字)の海女という触れ込み(実は相模出身。相模というのは今の神奈川県)のお松、お村という二人の美人海女が、水槽に潜って、龍王の明珠を取るという見世物だ。この潜るときの恰好が美女が腰巻一つで上はすっぽんぽん。昭和の中頃までは、海女さんは、海に潜るとき上半身は丸出しだった。誰ですか?そのころに戻りたいという人は?
このお松が水槽に潜っているときに殺される。いっしょに水槽に潜っていたのは、お村だけ。果たしてお村が犯人か? これに乗り出したのが平次という訳だ。最後は見事このトリックを見破り、お村の冤罪を晴らしている。
ところでこのころは、まだ石原の利助は元気だったようだ。このシリーズでは利助は中風気味なので、変わって、娘のお品が娘御用聞きとして出てくる場合が多いのだが、この話には本人が出てくる。
また、このころには、八五郎は岡っ引きとして独り立ちしているようだ。、相変わらず平次を親分と仰ぎ、何かあると引っ張り出そうとするが、平時からこんなお説教をくらっている。
「馬鹿ツ、人間の端くれは判っているが、ツイ此間お札を頂いて、それでも一本立の御用聞になつたばかりじゃないか」
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