やっと大飯原子力が動くことになった。仮に、電力の需要と供給がアンバランスになり、大停電でも発生すれば、日本社会に与えるダメージは計り知れない。
しかし、これで一安心という訳ではない。関西電力は、原子力によってくみ上げることのできる揚水まで入れれば、ピーク時の不足はほぼゼロになると言う。しかし、実際には、電気の消費量は、刻々と変動している。電気というものは、その物理的性質上、すべての時刻において、需要と供給がバランスしていないければならない。これは、エネルギー保存則からの当然の帰結である。
電力系統工学の専門書には、この変動分を吸収するために、運転予備力というものが必要であると書かれている。これが大体3%くらいが目安だそうだ。だから、ピーク時の不足がゼロということは、3%程度の不安が残るということである。
更に、各電力会社には、供給責任があるので、この夏の大作のために、普段は使わないような古い火力発電所を起動していると聞く。中には、古くて廃止する寸前のものもあるようだ。古ければ、故障する確率は高くなるのは当然のことだ。電力に余裕がないときに、火力発電所に故障が起きた場合を考えると怖ろしい。
今、日本経済はどんどん疲弊している。エネルギー価格が高騰したうえ、必要量も確保できないとなると、待っているのは悲惨な未来だけだ。政治家は、消費税問題を議論する前に、国として、エネルギーをどう確保していくのかを、現実的な観点から、真摯に議論しなくてはならないのではないか。
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