![]() | QED ~flumen~月夜見 (講談社ノベルス) |
クリエーター情報なし | |
講談社 |
・高田崇史
高田崇史氏のQEDシリーズは、桑原崇と棚旗奈々の薬剤師コンビが、歴史上の謎とそれになぞらえた現実の事件に挑むというものだ。このシリーズ、てっきり2011年に発行された「QED 伊勢の曙光 」で完結したものだと思っていた。なぜなら本の帯に「歴史ミステリーの金字塔 堂々完結!!」と書かれていたからだ。このシリーズ好きだったので、とても残念に思っていたのだが、その後2013年に「QED ~flumen~ ホームズの真実」が発行されている。
しかし、これは麻雀でよく言う「泣きの1回」に当たるのだろうと思っていたのだが、なんと2016年11月には本書が発行されたのだ。ということは、本編の方は一応終わったという形にして、今後も「QED ~flumen~」という形で続編が刊行されると期待してもいいのだろうか。
それはさておき、本書もシリーズのこれまでの作品と同様に、現実に起こった事件と歴史上の謎をクロスオーバーさせている。今回の歴史上の謎とは、天照大神やスサノオと並ぶ、日本神話における三貴子の一人である「ツクヨミ」に関するものだ。
このツクヨミは、イザナギが黄泉の国から逃げ戻り、禊をした際に、その右目から生まれ落ちたとされる神である。一般には男神とされているが、その後の神話には殆どでてこず、その性別も含めて謎の多い神だ。
そして現実の事件は京都で起きた、手毬歌「月夜見」になぞらえた連続殺人事件。こちらの方は、普通はありえないと思えるくらい異常な事件なのだが、世の中にはかなりサイコな人もいるので、絶対にないとはいいきれないだろう。
ツクヨミの正体を解き明かしていくところはなかなか興味深い。もともと神話世界での出来事なのだから、単純に信じない方がいいのだろうが、作者の筆力に、つい引きずられそうになってくる。
ところで、桑原崇と棚旗奈々の関係。目立ってはあまり進んではいないような気が。今回の二人の京都旅行は、ホテル側のミスで、同じ部屋に泊まることになってしまったのだが、それでも関係が進んだようには見えない。こちらの方も、このシリーズファンには気になるところだろう。
☆☆☆☆
※本記事の初出は「風竜胆の書評」です。