![]() | 地理 2017年 03 月号 [雑誌] |
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古今書院 |
今月号の特集は「青森と函館をくらべてみる」だ。青森と函館には懐かしい思い出がある。かなり前になるが、仕事がらみで行ったことがあるからだ。私の住んでいる広島から函館に行くには、飛行機だと羽田で一度乗り換えねばならないうえに料金も圧倒的に高い。そもそも飛行機は搭乗手続きが面倒臭いし、あんな鉄の塊で空を飛ぶのはなんとも落ち着かないので、できるだけ乗りたくないという気持ちもある。その時は、ちょうど差し迫った仕事がなかったため、時間はかかるが安く行ける列車で行くことにした。
移動日は、ぎりぎりまで仕事をして、新幹線に飛び乗った。東京で一度東北新幹線に乗り換え、当事は終点だった新青森で降りる。そこから在来で青森に行き一泊。次の日は特急列車で青函トンネルを渡って函館に。当時は、車窓から工事中の新幹線駅が見えていた。それが今では無事に開通して、北海道と青森を結んでいるのだから月日の過ぎるのはなんとも速いものだ。
この特集では、新幹線開通後の青森と函館の状況を伝えている。新幹線が北海道まで伸びたことにより、確かに青森と函館は時間的には近くなった。
両地区はそれを活かした「まちづくり」に知恵を絞っているようだ。青森や函館には素晴らしい観光資源が沢山あることは、昔訪れた際に実感した。機会があればまた行ってみたいと思う。ところで、変な全身タイツのオジサン(お兄さん?)が新幹線の被り物を被っている表紙写真には、思わず吹き出しそうになったが、これは「函館はやぶさPR隊」といって、函館のPR活動の一環だそうだ。これは七戸十和田駅にはやぶさを停車させるために運動していた「七戸はやぶさPR隊」との交流から生まれたものらしい。うん、両地区とも色々頑張っている(笑)。
しかしその一方では、色々な課題も顕在化しているようだ。例えば、青森県今別町は、新幹線開業により訪れる人は確かに増えた。しかしその割には経済的に潤っておらず、観光客がお金を落とす仕組みづくりがまだ整っていないという。また、青森~函館間の列車の料金が倍増し、新幹線の並行区間がJRから切り離されるようだ。将来現在の函館に新幹線が乗り入れるという約束も反故にされたということで、いいことづくめではないことも事実である。
この特集を読むとそんな青函地区の現状とこれからの課題というものがよく分かる。地方ではどこも少子高齢化が加速している。そのような中で、新幹線の開業はその地区の希望の光でもあるだろう。ぜひ10年後くらいにもう一度検証のための同じような企画をやって欲しいと思う。
最後に、本書の特徴として書評欄が充実していることが挙げられるだろう。興味深い本が多いのだが、値段を見ると、なかなか自分で注文というわけにもいかない。ところが今回は「活断層地震はどこまで予測できるか」というブルーバックスの一冊が取り上げられていた。これならと早速注文してみたのは余談(笑)。
☆☆☆☆
※初出は「本が好き!」です。