2050年 衝撃の未来予想 | |
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TAC出版 |
・苫米地英人
本書は、苫米地氏による未来予想である。まず目を引いたのが、2050年は平均寿命が120歳になるということ。少し驚いたが、その根拠を見ると、うーんとうなってしまった。日本人の平均寿命は、1925年から2014年までの89年間で男女ともに2倍になっているからだというのだ。(p19)このような数字の使われ方をすると、私のような理系人を自認する者としては、それだけで、気分がトーンダウンしてしまう。
ネットで平均寿命の推移を調べてみると、1925年から1960年までは、戦前と戦後に大きな不連続点がある。だから、本書のデータで計算してみると、この間では、平均すると0.66年/年とやや大きな伸びとなるものの、2014年から1960年では、0.28歳/年(いずれも男の場合)となり、明らかに鈍化していることが分かる。もっとも、医学の進歩により、どこかで平均寿命のジャンプがある可能性はあるのだが、このデータを使う限りは、2050年の平均寿命が120歳になるという根拠にはならないだろう。
それでも頂き物なので、一応最後まで読んでみた。書かれていることをごく大雑把に言ってみれば、これからの世界は、金融資本による支配がますます進んでいくということと世界のサイバー化がどんどん進展していくということだろうか。総論的にはその方向に進むのだろうが、各論がそうなるかについては、自分の知識では確信が持てない。
頂き物に対してこんなことを言うのは気が引けるが、読んでいて、自分はこの方面にあまり興味がないということが分かった。今が2017年だから、2050年と言うと、33年も先。自分が今〇〇歳だから、そのころは△△歳か(年齢は秘密(笑))。果たして苫米地氏の予想が当たっているかどうか、自分の目で見届けることが出来る自信がないなあ。ぜひあと30年以上生きている自信がある人は、世界がどうなっているかを見届けて欲しいものだ。
☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。