文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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仕事&生活の「困った! 」がなくなる マンガでわかる 私って、ADHD脳!?

2017-03-09 13:57:06 | 書評:学術教養(科学・工学)
仕事&生活の「困った! 」がなくなる マンガでわかる 私って、ADHD脳!?
クリエーター情報なし
大和出版

・司馬理英子 (著),しおざき忍 (イラスト)

 ADHDとは"Attention-Deficit/Hiperactivity Disorder(注意欠陥・多動性障害)"の略であり、不注意、多動性、衝動性をその特徴とする。昔は落ち着きのない子だとか注意力の足りない子だとか思われていたものだが、今は発達障害のひとつとして位置づけられているものだ。

 ただし、本書でいうADHD脳とは、ADHDという診断をされていなくとも同じような傾向がある人も含めた、もう少し範囲の広いものである。ADHD脳の人は、その脳の特性により、色々な失敗をしてしまう。しかし、決して自信を失ってはいけない。ADHD脳の特性をよく知って、うまく付き合っていくことができれば、失敗を減らしていくことができるのである。なお著者の司馬さんは、ADHD専門の精神科医だという。

 本書は、月刊「ルビー」の編集者である丸山里子の行動を通じて、どのようにすればADHD的な傾向がある人でも、ミスを減らすことができるかを解説したものだ。里子は、企画力、文章力はあるがそれ以外がまったくのダメダメ編集者。締め切りは守らない、取材先にアポをなかなかとらない。おまけに部屋は超汚部屋。おかげで自分が指導してきた後輩に先にチーフになられてしまった。本書は、そんな里子がメンタルクリニック院長である木場えり子のカウンセリングを受けながら自分を取り戻していく物語である。

 ストーリーがマンガ仕立てになっているので、専門書を読むような堅苦しさはない。まずはマンガを読んで、それに関する解説と「コツメモ」と名付けられた対処法を試していけば、ADHD脳の人も、自分の特性とうまく付き合っていけるようになるのである。

 本書の巻末にはADHDの診断基準が掲載されているが、自分を振り返ってみて、この基準に当てはまらない人でも、ミスを減らしたい人には37の「コツメモ」が有効な場合も多いだろう。また身近にADHDの傾向がある人がいれば、その人に対する理解を深めるためにも役に立つ一冊だと思う。

☆☆☆☆

※初出は「風竜胆の書評」です。
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