ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム (文春新書) | |
クリエーター情報なし | |
文藝春秋 |
・谷口忠大
最近よく行われているビブリオバトルというものをご存じだろうか。ルールに従って、発表者が自分の選んだ本を紹介して質疑応答があり、すべての発表が済んだら、その中から聴講者も含めたみんなの投票により、チャンプ本を選出するという知的なゲームである。本書は、一言で表せば、ビブリオバトルの提唱者が語るその魅力と言ったところだろうか。
基本的なルールは単純明快。次の4つしかない。
1.発表参加者が読んでも白いと思った本を持って集まる。
2.順番に一人5分間で本を紹介する。
3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを行う。
4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。 (p16)
たったのこれだけだ。あっという間に全国に広まったのも、この手軽さもあったからではないかと思う。
本書には、このビブリオバトルを疑似体験するために、架空の大学である三帝大学の右戸研究室で行われるバトルの様子を小説仕立てで描くと共に、ビブリオバトルの進め方、ビブリオバトル誕生の様子、ビブリオバトルを通じた人や本との出会い、ビブリオバトルの今後の広がりなどが述べられている。
実は私も何回か、ビブリオバトルを聴講したことがある。残念なことに、紹介された本の中に、食指を動かされたようなものは無かったのだが、バトルそのものはなかなか面白かった。ビブリオバトルに興味がある人、これからやってみたい人には、ぜひ読んでその楽しさの一環でも味わってもらえればと思う。
☆☆☆☆
※初出は「風竜胆の書評」です。