これは、森の猫と呼ばれるケットシーたちと、そのケットシーに育てられ、長じてからは、ケットシーたちから羽のおじちゃんと呼ばれて、彼らを守ってきた竜の物語(人間は竜のことを皇竜様と呼ぶが、竜は他の竜を知らないので猫竜が相応しいと言っている。)。
竜を育てた母猫(母ケットシー?)は、おおらかであり、包容力抜群なので、竜の他にも悪魔なんかも育てていたらしい。その母猫が魔法学校の少女に召喚されて、いなくなってしまったので、代わりに竜が森の猫たちの面倒を見ているというわけだ。竜の寿命はとても長いので、猫たちの何代にも渡って守っている。猫たちも竜にとても懐いており、羽のおじちゃんのところなら安心して子供を産めると、とっても好評なのだ。ただ竜は猫たちに対して過保護なところがある。
猫たちと人間との関係だが、猫たちの住む森の近くにある王国とはうまくいっているようで、森の猫たちは、王国まで行って、人間と友人になる者も多い。特に王子が生まれると挨拶に行って、気に入ればそのまま友人となる。一度人間と友人関係を築くといいパートナーになるようだ。母猫も召喚先で、少女だけでなくその子孫にまで寄り添っているのだ(実は近くにカーバンクルが沢山住んでおり、その魔力に満ちた額の宝石を食べているうちに寿命が延びたらしい。)。人間には色々な人たちがいて、竜も猫も人間は個人差が大きく、いい人間もいれば悪い人間もいることは理解している。でも竜はどうも人間の住む町に行くのは苦手なようである。
読んでいると、竜と猫と(いい)人間たちの交わりにほっこりとした気持ちになってくる。猫たちも可愛らしいので、きっと猫好きの人たちにはたまらないだろう。作者もきっと猫好きだと確信できるような作品である。
☆☆☆☆☆