山頭火は昭和7年から13年まで小郡(現山口市小郡)にある「其中庵」ですごした。そこで書いた日記が「其中日記」である。私は小郡(現新山口駅)にはよく行くのだが、残念ながら其中庵を訪れたことはない。地図で見ると、それほど新山口駅から離れていない。後学のために一度訪れてみたいものだ。
さて本書であるが、本書は副題に「其中日記から」とあるが、日記に書かれたものをそのまま載せたものではない。日記を元に書き直したエッセイであり「層雲 昭和十年十月号」に掲載したものだ。層雲とは自由律俳句の俳誌で荻原井泉水の経営・編集で創刊したものだ。
「其中日記」は青空文庫で全16巻(13巻、14巻は、(十三)と(十三の続)となっているので、「其中日記」としては十五まで)もある。この作品は「其中日記」のどれに当たるのだろう。色々調べてみるとこの作品は昭和10年に書かれた「其中日記(八)」に当たるようである。
描かれているのは9月3日から5日の3日間。別に大きな出来事がある訳でもなく、今で言うスローライフの毎日。貧乏暮らしだが、山頭火の日常が伺えるようである。
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