雨、24度、92%
イチゴジャムを作りましたなんて、大袈裟に言うことではないのですが、私がイチゴジャムを作ったのは30年ぶりです。つまり香港に来て以来ジャムを作ったことがありません。
香港の果物、地元で取れる果物は数が知れています。ほとんど輸入に頼っています。今でこそ日本の高級な果物も手に入りますが、以前は日本の果物は20世紀梨ぐらいでした。それも中国の梨の10倍の値段が付いていました。以前から苺はアメリカのものが主流です。大きなダナー種の苺です。日本と違って茎まで付いています。お値段だってかなりのものです。ここ数年、日本の「あまおう」「とちおとめ」なんていう高級品種が手に入りますが、これまた素晴らしいお値段です。その日本の苺を真似した韓国製の苺がやや手頃に手に入ります。そして、地元の酸っぱいイチゴも少しですが市場に出て来ました。結局、私が買うイチゴはアメリカの手頃なものと決まっています。アメリカの苺は考えれば一年中、入って来ています。
数日前買ったイチゴ、もちろんアメリカ産ですが酸っぱいこと、酸っぱいこと。それにとっても硬い。小さい頃したように潰して練乳でもかけて食べてやろうかと思う程です。ふと、ジャムを作ろう!と思います。ジャムなんてお砂糖と苺を煮るだけ、声を上げてジャムを作りましたなんていう程のことではありません。 プクプクと砂糖の泡が出て来ます。その砂糖水がイチゴの赤さで染まります。きれいなこと。
小学生の頃ですから昭和40年代の初めに、ブルガリアのイチゴジャムを食べました。野暮ったい瓶に入っていて、10円玉で蓋をこじ開けます。そのジャムには丸のままの苺が入っていました。その時の驚きとおいしかったこと、忘れられません。コロンとした苺ばかり取り出して食べました。そしてその苺、小さなへたのの芯も付いていました。私のジャムも芯付き丸ごとジャムです。しかもあくなんて取りません。アクの味のうちです。瓶に入れて透かしてみる苺の色に見惚れます。何でもっと早く作らなかったのかな。すっかり冷めて、蓋をする前にそっとシャンパンを流し入れました。私のイチゴジャムです。