晴れ、17度、71% 福岡
昨夕福岡の家に戻ってきました。ちょっと肌寒く感じます。街を歩く人たちも長袖姿です。家に着き玄関の鍵を回そうとしたその時、ふっと鼻先を甘い匂いが掠めました。金木犀です。
我が家の金木犀は見上げるほど高い木でした。その木の上の方を切り落し植え替えたのはもう3年ほど前です。家の改築のために庭木の整理をしました。車寄せのために金木犀は植え替える必要があったのだと思います。ひと夏超えたとき植木屋さんが根付いていますよと教えてくれました。それからふた秋、金木犀は花をつけませんでした。3年目、やっと花をつけてくれた我が家の金木犀です。背が高かった頃は、頭の上からあの香りが降ってくるように感じました。オレンジ色の小さな花は、見上げなくては見れませんでした。背が低くなった今、私の目の高さに花が見えます。
朝晩の気温差が出始める頃にこの花の香りを嗅ぎます。昔は9月の終わり頃だったように記憶しています。10月の終わりに花をつけるということは、地球の温暖化のせいかしらと思います。草花の開花は気温に正直です。
金木犀が中国南方原産であることを知ったのは、香港に住むようになってからです。ところが香港では一般に見られるのは金木犀より香りが薄い銀木犀です。しかも日陰のちょっと涼しい場所では一年中花をつけます。金木犀の酔うような香りではありません。白っぽい花がチラチラと咲く低木の銀木犀です。
中国人も金木犀の香りはお好きです。この花を乾燥させてそのままお茶を入れたり、ワインに漬け込んだ「桂花陳酒」という甘いお酒も作ります。ひところは、中華レストランで最後に出されるデザートにこの花びらを入れたゼリーが流行りました。乾燥させても匂いが残る金木犀ならではの使い道をよくご存知です。
ふた月ぶりに戻ってきた私に、金木犀からの「お帰りなさい。」の香りでした。