雨、24度、95% シグナル3
お月様は満ち欠けがあるので、見ている私たちは時に姿を変える生き物のようにも思えます。中秋の名月といっては空を見上げます。確かにひと月前の中秋の名月も綺麗な月でした。ところがこの数年、この私が待ち焦がれているのは、中秋をひと月すぎたお月様です。一昨日が中秋後初の満月。
香港でも特にイルミネーションばかりが目に入る場所に住んでいます。真夜中までは空の星はほとんど可視できませんが、お月様は場所さえ良ければ見つけることができます。この私が見るお月様は、どちらかというと明け方の月です。夜空にお月様を探しても見つからない、雲がかかっていることもあります。翌朝まだ暗いうちに走りに出かけると、雲間から顔を見せてくれるお月様。すっかり雲が晴れて、空を独り占めしているお月様に出会います。お月様への挨拶は、「おはようございます。」です。月と一緒に朝走ります。お月様の高さや位置によっては、月明かりが私の影を作ります。
香港島の太平山の山際に浮かぶお月様。 すっぽりと木々に覆われた道からお月様を見ると木の葉の向こうに見えています。なぜ、歳をとってきて中秋節のあとの月の方が好きになったのかよく考えます。おそらく気温です。中秋節の頃はまだ汗ばみますが、ひと月後はここ香港でも凌ぎやすく、私がお月様を見る時間はぐっと気温も下がります。これは真冬の寒さの中に見る月とはまた違います。寒い頃のお月様は孤高です。
木々の葉の間から見える月の写真は、少し不気味かもしれません。月には人を酔わせる何かがあります。ルーナティック(lunatic)、やや精神病的な表現ですが月を見るといつも心に浮かぶ言葉です。Luna、ギリシャ神話の月の女神です。
来月、再来月と月の白さが際立ち始めます。