チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

モモさんの贈り物

2017年05月01日 | もも

晴、17度、66%

 モモさんが逝ってしまって、一日が過ぎました。気持ちのよいまでの青空です。大きな空洞を体の中に持ったような虚脱感と不思議なことに幸せな気持ちが胸をいっぱいにしてくれています。

 この家の庭には私が小さい頃飼っていた犬たちが埋葬されています。結婚後、我が家が一緒に生活した東京から連れて来た「テツ」も眠っています。モモさんを埋葬すべきか、荼毘に付すのがいいか、迷いました。主人は埋葬したいと思っています。埋葬でもよかったのですが、私はモモさんにしてあげたいことが一つあります。モモさんを香港に連れ帰ることです。

 私たちに身近にモモさんを置くことはもちろんですが、モモさんの故郷、13年育った香港にもモモさんを連れ帰ってやることが私がモモさんしてあげれる最後のことです。火葬を選びました。

 福岡の西、杉木立ちの中に建つ小さな火葬場でした。最後の別れを済ませて、モモさんが灰になるのを空気の揺らめきを見ながら待ちました。まっすぐに伸びた杉の葉が青い空との境で風に揺れるのを感じます。遠くで鳥のかすかなさえずりも聞こえます。隣に立つ主人と言葉も交わさずに時間を過ごしました。主人は悲しく辛いのを押し殺しているのがわかります。側に立つ私は、穏やかな幸せを感じていました。このひと月、幾度も悲しさ辛さを感じました。その度にそれを乗り越えて昨日に至りました。この気持ちが「無」に違いないと、葉のそよぎに感じます。土からは春の深い香りが立ち上っていました。

 持参した骨壷にモモさんすっかり収まってくれました。 主人の手にしっかりと包まれて家に戻って来ました。「お帰りなさい、モモさん。」これからは片時も離れずに私と一緒です。最後まで私に幸せを連れて贈ってくれました。傍で苦しむ主人にもう暫くすると、モモさんからの贈り物が届くと思います。あの目を思い出すだけで幸せが胸に広がります。ありがとう、モモさん。

コメント
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