チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

和久傳「西湖」に思うこと

2017年05月11日 | 日々のこと

晴、16度、82%

 中国抗州の西湖、行ったことはありませんが世界遺産にも指定されるほどの美しい湖だそうです。この湖の蓮の花が有名だと知ったのは香港に住んでいる時でした。香港で売られているとろみをつけるための粉は片栗粉、コーンスターチ、蓮根の粉、黒クワイの粉があります。一番お値段がいいのは黒クワイ。滅多にないのが蓮根の粉です。薄いブルーの箱に蓮のピンクの絵が描かれ「西湖」と名前があるだけです。一見しただけでは中身がわからない。箱裏の中国語を拾い読みすると、蓮根の粉だとわかります。そこで、「西湖」は蓮の花で有名だと知りました。分量もわからず使ってみましたが、片栗粉より緩くほんのり甘みがありました。

 京都の和久傳のお菓子に「西湖」という青笹に包まれたお菓子があります。名前を見ただけで、蓮根の粉で作ったお菓子だなと思います。青笹を開けると、やや茶色がかって透明な冷菓がふたくちほどの大きさで入っています。青笹の香りと蓮根の粉、和三盆で調えられたお菓子はすんなりとお腹に収まってくれます。

 このお菓子を見ると思い出すのは、3年前に逝った私より若い友人のことです。彼女のご実家は京都です。京都から帰ってくると、すぐに連絡が入ります。「真奈さん、明日お時間は?お渡ししたいものがあるので。」いつも、「ほんの少しです。」と言って彼女が手渡してくれる保冷袋はまるで福袋のように膨らんでいます。この「西湖」に始まり彼女のおすすめ「カルネ」や季節のお野菜が次々に出てきます。別れ際、「真奈さん、早く食べてくださいね。」と念を押されます。大丈夫、この私、袋を開けながらすでにパクパク。香港にいながらにして、こうした繊細なお菓子を味わうことができました。

 昨日は朝早くに宅急便です。はて?誰かしら?開けると「西湖」が出てきました。別の年若い友人が、モモのことで気落ちしている私への心遣いです。もちろん箱を開けながら、1本パクリ。おやつには薄めにいれたコーヒーといただきました。 我が家の新入りココさんにもおすそ分けです。お礼のメールを入れると、「真奈さん、しっかり食べてくださいね。」いつも年若い友人にこうして𠮟咤されます。

 おやつをいただきながら、亡くなった友人のことを思いました。そしてもう一つ、おそらく日本に帰ってきて初めて香港のことを思い出しました。日本に帰ってきて3ヶ月、香港のことを懐かしむ暇もないほどあっという間の時間でした。「西湖」のお菓子から、飛び出してきた私の思い出、お菓子を送ってくれた友人がこの心温まる時間も贈ってくれたと感謝しています。

 

コメント
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