マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

驚いた!「ツチハンミョウ」と「2冊の本」

2021-03-22 | 自然
夫が「こんな虫がいたよ、見たことがない・・・」と言ってパックに入れて持ちかえってきた小さな奇妙な虫、
黒と緑と紺が混ざったような色で金属光沢があります。



検索してみたところ、「オオツチハンミョウ」か「ヒメツチハンミョウ」と思われます。
更に検索すると、
この虫の驚くべき生態が書かれていて、
何冊か本も出ていることが分かったので、図書館に予約しました。

林の中の道の前を跳ねるように行く、きれいな「ハンミョウ」とは全く違う種で、
強い毒を持ち、忍者が生物兵器として使用した虫だそうです。
(関節から分泌する黄色い滲みが猛毒のカンタリジン、素手で触れると火傷したような水ぶくれができるそうです)
夫は素手で抓んでパックに入れたり、少し押さえて「柔らかい」などと言っていましたが、
無事でよかった・・・
触れると手足を縮め、コロンと転がって、
死んだふりをします。成虫は草食です。


そして、借りてきた本の1冊目は
『つちはんみょう』
舘野鴻(たてのひろし)作

2016。偕成社

本を読んでわかったことは、この1匹は奇跡の一匹(ちょっとオーバー?!)だ、ということです。
1匹のツチハンミョウは4000個の卵を産むそうです。
卵からかえった小さな幼虫は草によじ登り、偶然訪れたハナムグリの背につかまって花にたどり着き、
そこでヒメハナバチの訪れを待ち、偶然やってきたヒメハナバチに掴まって、
ヒメハナバチの巣にたどり着いたものだけが、そこでヒメハナバチの幼虫を食べて成虫になることが出来ます。
4000個の卵の内、成虫になれるのは、ほぼ1匹だけなのだそうです。
捕まえたツチハンミョウはそんな信じられない旅をしてきた1匹だったのです。
ただ一生懸命生きている、それだけの、小さな虫・・・
けれど、何百万年?も命をつないで生き延びてきている・・・
凄いなー、と茫然とします。
「全ての命は奇跡!」ということを、ちっぽけな虫たちは教えてくれているのかもしれません。

緻密な絵の筆先にこの虫への並々ならぬ愛情を感じます。
8年にわたる観察を基に書き上げた、凄い絵本です。



(矢印の先にツチハンミョウの幼虫、矢印を書いたのは私)

そしてこちらは動的平衡の福岡ハカセのエッセイ集。

ツチハンミョウやチョウやいろいろな虫の話、フェルメールの話、人体の話、実験の話、
アメリカの社会、日本の社会、本の話・・・2~3ページづつ、様々な分野の楽しい話が詰まっています。
寝る前に最適です。
この本の表紙絵は、前述の絵本の著者の「舘野鴻」が描いています。
『ツチハンミョウのギャンブル』
福岡伸一 著

2018 文芸春秋

「ファーブル昆虫記・奥本大三郎 訳」にもツチハンミョウのことが書かれているようです。
次の機会に借りてこようと思います。

















コメント (2)
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