マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

『13坪の本屋の奇跡』

2021-02-13 | book
町の中にあった小さな本屋さんが次々と消えて行ったのはもうだいぶ前のことになりました。
出版物の流通にも問題がある、ということは聞いていましたが、
アマゾン(通販や電子書籍)のせいだろう、と漠然と思っていました。
まさかこんなにひどい「小さな本屋さん虐め」があるとは知りませんでした。



大手出版業界と取次業界(日販、東販)との「癒着」が、
町の本屋さんを、閉店へとじわじわ追い詰めていったことを、初めて知りました。

書店は本を委託販売する所です。
本の注文からはじまり、1冊の本を売って、その中から僅かな利益を手にするまで、雑多な手間と時間がかかります。
そして、「小さな本屋さん」と「大きな本屋さん」には明らかな差別があります。
小さな書店が、今売れる本をいくら取次店に注文しても送ってもらえない。
その上、注文もしていない古い本や、とんでもない「ヘイト本」が山のように送られてきて、
代金はすぐに払わなくてはならない。(見計い配本)
本を送り返しても、小さな本屋さんへの返金は後になるので(小さな本屋さんにとって、死活問題です。)
売りたくなくても、しょうがなく店頭に積み上げることになる。
本屋さんの店頭に、嫌韓本などが積み上げてある理由はそうだったのか、と驚きました。
日本のどこの場所においてもヘイト(差別言動)が蔓延していった根元に、こんなことがあったとは!
本屋さんが、社会を壊したり、良くしたりする一面もあるのだなと思いました。

この本は大阪の谷町にある「小さな本屋さん」の、
頑張る日々の活動と闘いを、ジャーナリストの木村元彦が取材して書いています。



「隆祥館」の創業当時から、今に至るこの本屋さんの活動を、様々なエピソードを交えて語っています。
現在は、定期的に作家を招いてイベント(ミニ講演会など)も開催しています。
(講演会の内容が収録されています。)



今や本屋さんは電子書籍の普及を待たずに淘汰されようとしています。
取次店を通さずに本を置くというのは「小さな本屋さん」にはとてもハードルが高く、
さらに、取次店を通さなければ雑誌が置けなくなるそうです。

本屋さんは取次店次第、
首根っこを抑えられている、
本屋さんが無くなってしまった理由がよく分かりました。

フランスやドイツには個人書店を守る法律があるそうです。
(詳細は書かれていません。)

『13坪の本屋の奇跡』「闘い、そしてつながる」隆生館書店の70年
  2019   からころ
  木村元彦・著 
  降矢なな・カバー絵









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