かつての日本の暮らしに「竹」は欠かせないものでした。
大小の笊箕、籠、さお竹、筆、笛や尺八、火吹き竹・・・
家の天井、床、壁の中にも竹が使われていました。
そして、タケノコは大切な食べ物でした。
竹の無い暮らしは想像もつかなかったことでしょう。
でも、何となく、それは、日本と中国や東南アジアの文化のように思っていました。
それは間違いでした。
この本で、竹は、世界の広い範囲に分布していて、それぞれの地域で、
日々の生活の中で大切な役割をもっていることを知りました。
今もアフリカや、インド、中国などアジアの各地で、中米や南米で、
住居に、建築現場の足場に、家具や楽器や、筏など
日常の様々な場面で使われています。
驚いたのは、コロンブス以前の北アメリカに、竹の原生林が広がっていた、という事実です。
当然、先住民(インディアン)は自生していた竹を利用して暮らしていました。
ヨーロッパからやってきた白人は、
自分たちの農業と牧畜のために自生していた竹林を伐採し、多くを消滅させてしまったのです。
先住民の文化を学ぶことも、竹の可能性に気付くこともありませんでした。
今では、世界各地で、
成長が早く、伸長圧縮に強い竹が見直され、
建築資材の他、炭や床材や繊維などへと利用価値が高まってきています。
持続可能な資源として、竹は、多くの可能性を秘めていると考えられています。
二酸化炭素の吸収率などについての研究はまだ始まったばかりのようです。
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『竹の文化誌』
スザンヌ・ルーカス 著
山田美明 訳
原書房 2021年
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日本には竹の部首の付いた漢字が150以上あるそうです。
多くは籠、竿、笙、などの竹製の「モノ」の名ですが、
竹の節の間の長さが揃っている事や、竹の姿が由来の文字もあるようです。
第、等、簡、算、筋、節・・・など
『笑』は竹には関係なく「わらっている姿」を現しているらしいです。
そう言われてよく見ればこの文字、
体をよじって笑っているようにも、
顔中くしゃくしゃにして笑っているようにも見えてきました!
プラスチックとは一味も二味も違う触り心地です。
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