マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

『戦場の秘密図書館・シリアに残された希望』

2020-04-07 | book
漢字にフリガナがあり、文字も大きめなので児童書ですが、
大人にもおすすめのノンフィクションです。

私にとっても「本」は、子どもの時からずっと大切な友達で、
「本」のない生活は今も考えられません。
けれど、戦場のようなところで、「本」はいったい何の役に立つのでしょう?

この本は、シリアの内戦下で、
治安部隊による絶え間ない爆撃にさらされ、食料や日用品もなくなり、
瓦礫と化した町の地下に作られた秘密の部屋に、
雨ざらしになった家々から本を少しづつ避難させて、
図書館を作った人々の記録です。
14歳の少年が司書になり、
夜が明ける前に、図書館にこっそり入り、
元の持ち主名を明記し、本をきれい掃除修復して、棚を作って、整理し、
身を潜めて、秘密の入り口をくぐってやってくる人たちに本を貸し出していました。

読書会や勉強会もそこで開かれるようになっていきました。
そして自分たちの街で今何が起きているか、世界に発信していました。
アルミホイルやなべを使って、携帯の電波を増幅して、
この本を書いたイギリスに住む著者とも時々通話したそうです。

年齢も、仕事も、宗教も超えた交流があり、
ジャンルを選ばず本を集め、
本を大切に読む中で、人々は希望の光を胸の中にともし続けることができたのです。
けれど、とうとう図書館も爆弾の直撃を受け失われます。
そこに通っていた人々も、もはや通うことができなくなる時が来ます。
しかし、避難先でも、小さな移動図書館を作るのです!

つぎつぎと小さな子どもたちが爆撃で殺されていく場面には胸がつぶれます。
政府軍による、テロリストを一掃するため、というプロパガンダを多くの欧米や日本人は信じさせられています。
テロリストが、図書館を作るでしょうか?


食べ物も住まいもないのに、図書館?
と質問する著者に帰ってきた言葉は
「読書は空腹を忘れるのにもってこいなんです。」
「栄養が必要なのは体だけではない。頭や心にだって栄養が必要なんだ。」


 『戦場の秘密図書館/シリアに残された希望』
 マイク・トムソン 著   小国綾子 編訳
 2019/12  文渓堂

*シリアのアサド政権の独裁は残酷で非道ですが、
 日本の安倍(独裁)政権も、爆弾で直接人を殺してはいませんが、
 人の命を何とも思わない、冷酷さにおいて、全く同じだと思います。
 頭の中は金の計算だけで、文化、芸術を足蹴にするところも同じです。
 




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