夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ピンクとグレー』

2016年01月18日 | 映画(は行)
『ピンクとグレー』
監督:行定勲
出演:中島裕翔,菅田将暉,夏帆,小林涼子,岸井ゆきの,千葉哲也,マキタスポーツ,
   入江甚儀,橋本じゅん,篠原ゆき子,矢柴俊博,宮崎美子,柳楽優弥他

予想外に楽しめた前述の『傷物語 I 鉄血篇』とハシゴ。

原作を読んだときのレビューを“ブクログ”にUPしています。
多分にかぶりますので、そちらをお読みくださった方にはすみません。
しかしその先は映画版について完全ネタバレモードで書きます。

加藤シゲアキの同名小説を『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)の行定勲監督が映画化。
原作者はジャニーズ事務所所属、アイドルグループNEWSのメンバー。
映画に出ている人しかわからない私は、山P錦戸くん、かろうじて手越くんがわかる程度。
顔もわからないのに、ジャニーズの子かぁと先入観ありありで読み始めました。
以下、原作のあらすじです。

りばちゃんこと河田大貴は小学生のときに大阪から横浜へ転校。
友だちをつくる気などなかったが、同じマンションに住む同級生と意気投合。
中でもごっちこと鈴木真吾とは中学受験をしてまで同じ学校へ進み、高校生活も共に送る。
文化祭ではバンドを結成、お互いのいない毎日など考えられなかったが、
高校2年生のある日、転機が訪れる。
駅で雑誌編集者の赤城から読者モデルにならないかと声をかけられたのだ。
ハンバーガーをおごってくれるならOKだと冗談で言うと、意外にもそれが受け入れられる。

ルームシェアを始めたふたりは、芸能事務所に所属。
大貴は河鳥大、真吾は白木蓮吾という芸名を持ち、ささやかながら芸能活動を始める。
やがてエキストラの仕事でプロデューサーに見初められた真吾は、
連続ドラマへの出演を手中におさめ、人気はうなぎのぼり。
以後、芸能人としてのふたりの格差は広がるばかり。
真吾は自分の出演作に大貴も出られるように取りはからうが、
大貴のプライドがそれを許さず、すべて断ってしまう。
それでもずっと友だち。一緒に暮らしていたい。
大貴はそう思っていたが、真吾が唐突に事務所を移籍、
勝手に引っ越しを決めたのをきっかけに決裂。

数年後、同窓会で再会したふたり。
相変わらず大人気の真吾にふてくされた態度を取る大貴。
しかし帰り際に飲みに行ってみれば、わだかまりが嘘のようになくなる。
翌日もう一度会う約束をして真吾のマンションに寄ってみると……。

300頁ほどの文庫本で、半分を過ぎる辺りまではいささか退屈。
面白くなるのは真吾の自殺現場に大貴が乗り込んでからでした。

さてここからネタバレ全開ですので、映画をご覧になる方は決して読まないでください。

映画はまさにその面白くなる場面、真吾の自殺現場に大貴が居合わせるところからスタート。
なるほど、そこから始めるのねと興味津々。
そして、ヤラレタと思ったのは119分の作品でおそらく65~70分辺り。

原作では、真吾の自殺後、大貴が真吾に関するノンフィクションを書き、それが大ヒット。
大貴が真吾役を演じる映画が製作されます。
冒頭から70分頃まではなんとこの映画の中のお話でしたというわけで。

つまり、ずっと真吾だと観客が思っていた中島裕翔は本当は大貴。
大貴だと思わされていた菅田将暉は、実は大貴役の俳優。
真吾と大貴ふたりともが想いを寄せる幼なじみのサリーだと思っていた夏帆は、
清楚なサリーとは大違いのパンパン女優。厚化粧の夏帆がコワイ(笑)。
本物の真吾役は柳楽優弥でした。
なるほど、道理で映画のHPに役名がほとんど載っていないのね。

ほぼ原作に忠実な映画化だと思っていたらとんでもない。
原作のその後が付け加えられた作品となっていて、
物語を楽しむというよりも菅田将暉くんのカメレオンぶりを見る作品に。

映画と原作、どっちも「ら抜き」てんこ盛りなのは同じ。
原作では遺書までら抜きだなんてと思いましたが、映画では遺書は公開されず。

映画の中の「映画の話」と「現実の話」をカラーとモノクロで使い分けたり、
こんなふうに映画化するのかという点では非常に面白いけれど、
映画として好きかどうかと聞かれたらイマイチです。
原作だってそんなに好きだったわけじゃないから、こんなもんで。

大阪から横浜じゃなく埼玉に引っ越すことにしたのは別に意味はないですよね。
原作では引っ越しの挨拶に餃子持参で驚いたけど、
いくら大阪人だからって、ご挨拶に餃子は持っていかないと思いませんか。

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