夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『マイ・ファニー・レディ』

2016年01月02日 | 映画(ま行)
『マイ・ファニー・レディ』(原題:She's Funny That Way)
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
出演:オーウェン・ウィルソン,イモージェン・プーツ,キャスリン・ハーン,ウィル・フォーテ,
   リス・エヴァンス,ジェニファー・アニストン,オースティン・ペンドルトン他

「今年観た映画50音順」を始めてしまったので、
12月後半に劇場で観た作品についてまだUPできていません。
まずは19日(土)、武庫之荘での忘年会前に観た作品を。

『ペーパー・ムーン』(1973)のピーター・ボグダノヴィッチ監督。
御年76歳ですが、これまでの人生がなかなか凄い。
オーディションで自ら合格にしたプレイメイトと交際し、その妹と3人で同居。
プレイメイトは別居中の夫によって射殺され、夫も自殺。
ボクダノヴィッチ監督は40歳を過ぎたころ、
プレイメイトのドロシー・ストラットンはわずか20歳のときのことでした。
監督はのちにドロシーと8歳ちがいの妹と結婚という、映画になりそうに劇的。
ちなみに、ブライアン・アダムスの“Cover Girl”は、ドロシーをテーマにした曲だそうです。

『ラスト・ショー』(1971)と『ペーパー・ムーン』で名匠と呼ばれるけれど、
ほかはTVシリーズや日本では劇場未公開の作品が多く、
どうなんだろうと思っていましたが、予告編を観ればとても楽しそう。
オーウェン・ウィルソン主演ということもあり、
『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)が思い出されます。

とあるバーでインタビューを受けるハリウッド新進女優、イジーことイザベラ。
彼女は元コールガール。世の中にはその経歴を好奇の目で見る人が溢れている。
世間に代わり女性記者が寄越す不躾な質問に嫌な顔ひとつせずに答えるイジーは、
ある客との出会いを語りはじめる。

両親とともに狭苦しい家に暮らすイジーは女優志望。
容姿に恵まれた彼女は芝居を勉強する金を貯めようと、
高級コールガールのアルバイトをしている。

ある晩の客アーノルドは、ホテルにやってきたイジーをまずは食事に誘う。
一発ヤルことしか考えていない客ばかりの中、イジーはビックリ。
終始紳士的な態度のアーノルドとそれでもやることはやった後、信じられない申し出が。
「もしもこの仕事を辞めるなら、君に3万ドルあげよう」。
冗談などではなく、今すぐキャッシュで手渡してくれると言う。

その金を受け取ったイジーはコールガールをただちに辞め、
夢だった女優の道を目指してブロードウェイのオーディションに挑む。
ところがその舞台の演出家がアーノルド。
まさかの再会に慌てるアーノルドとイジー。
しかしアーノルドがいつまで経っても動揺を隠せないのに対し、
すぐに落ち着きを取り戻したイジーは見事な演技で脚本家や共演者を唸らせて……。

アーノルドとイジーのほか、アーノルドの妻で女優のデルタ。
人気男優のセス、脚本家のジョシュ、老齢の判事ペンダーガスト、同じく老齢の探偵。
ジョシュの恋人で自己チューな精神科医ジェーン。
これらの人がみんな繋がっていてあちこちに修羅場が待ち受けています。

台詞の妙や間合いが楽しく、クスッと、ときにはふきそうになる場面満載で、
上品にまとめられたロマンティックコメディでした。

あちこちに小粋なゲスト出演。
『ペーパー・ムーン』の子役テイタム・オニールがウェイトレス役だったり、
クエンティン・タランティーノの登場に驚かされたり。
みんなが上手く行かなくても収まるべき所に収まってハッピーエンド。
エンドロールも楽しいです。

楽しければ、そこが君の居場所。

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