『裸足になって』(原題:Houria)
監督:ムニア・メドゥール
出演:リナ・クードリ,ラシダ・ブラクニ,ナディア・カシ,アミラ・イルダ・ドゥアウダ,
メリエム・ムジカネ,ザーラ・ドゥモンディ,サラ・グエンドゥス他
なんばパークスシネマで3本ハシゴの3本目。
ノーマークでしたが、時間的に合うのがこれしかなくて観てみたら、
とてもよかったフランス/アルジェリア作品。
製作総指揮を務めるのがトロイ・コッツァーであることも話題になっています。
彼は『コーダ あいのうた』(2021)で主人公の父親役を演じ、
イスラム国家、アルジェリア。
親友のソニアたちと日々熱心に練習している。
フーリアにはサブリナに秘密にしていることがある。
それは、賭け事に手を出しているということ。
勝った金で母親に車をプレゼントしたい、その思いのみからしていること。
ところが賭けに勝った日、負けたと騒ぐ男から追いかけられる。
逃げるフーリアは階段から突き落とされて転落し、足首を骨折したうえに、
あまりに恐怖が強かったせいで声が出なくなってしまう。
バレエダンサーとなる夢をあきらめねばならず、心を閉ざしがちのフーリアだったが、
リハビリ中の施設でろう者のグループと出会う。
音楽に合わせて踊るフーリアに魅入られたグループのメンバーは、
彼女にダンスを教えてほしいと懇願し……。
フーリアに大怪我を負わせたのはテロリストで、恩赦を受けて自由に闊歩している。
こんな事件を起こしても警察は何もしてくれないんだから、えげつない国です。
その恐怖に怯えながら、でもこの少女は屈することがない。
一旦はダンサーになる夢をあきらめた少女が再起にかける話かと思いきや、
自らが踊ることだけではなくて、みんなに踊りを教え、共に踊ることを選ぶ。
彼女からダンスを教えてもらうメンバーたちにもさまざまな背景があります。
声が出ない事情がいろいろとあるのです。
生き方がひとつではないことに気づいたフーリアに私たちは勇気づけられる一方で、
アルジェリアから出て行くことを選んだ親友が還らぬ人となるのを見るのは悲しい。
ムニア・メドゥール監督の作品は初めて観ましたが、
同じくリナ・クードリが主演に起用されている『パピチャ 未来へのランウェイ』(2019)をぜひ観たいです。
“フーリア”は「自由」の意味。
まさにそれを体現するリナ・クードリは、アルジェリアの期待の星なのでしょうね。