弟が亡くなってから明日で3週間になります。
9年前、大学生だったお嬢さんを突然亡くした先輩が、
弟が亡くなった当日の晩に連絡をくれました。
「悲しみは決して消えないけれど、時間と共に小さくはなるよ」。
いつか大丈夫になる。
弟が死んじゃってから数日間は、何を見ても何をしても悲しくて、
でもやらなきゃいけないことが多すぎて、
涙と鼻水を垂らしながらあれやこれやと片付けていました。
3週間経とうという今、不思議なもので泣く頻度はどんどん減り、
こんなに早く立ち直っていいのか私、ごめんよ弟と思っています。
安心したわけではないのです。
だけど、いつ弟の容態が急変するか気が気でなくて頭がどうにかなりそうだった頃と違い、
今はもう弟はいないのだから、電話が鳴るかもなんて思わずに映画にも行ける。
しかし独り言を言う頻度は実に高くなり、気がつけば弟に話しかけている状態です。
弟の部屋と実家にはほぼ毎日寄っています。弟の部屋は実家の3軒隣。
こんなにも頻繁に両親の顔を見に行くことは今までありませんでした。
私の晩ごはんを喜んで用意する母。「飯だぞ」と言って呼びに来てくれる父は、
弟の部屋から出たゴミを私がビニール袋に詰めると、
台車をがらがら引きながら、マンションのゴミ置き場に運ぶのも担当。
1週間ほど前、実家の扉を開けたらえらく散らかっていたことがありました。
「どないしたん!? 物盗りにでもあったような乱れ様」と驚いたら、
息子がいなくても自分でなんでもできるところを見せたい父が勢い余って転んだらしい。
その父はどうしているのかいうと、和室で仰向けになってじっとしている。
父は筋力がなさすぎて、転ぶと自分で起き上がれない。母も父を抱き起こせない。
仕方がないから、転んだ後そのままズリズリと背中で張って和室へ行き、
抱き起こしてくれるであろう私が来るのを待っていたそうです。
その様子を話す母が涙を流しているので、「お母さん、笑ってるん?泣いてるん?」と尋ねたら、
「笑ってるの。お父さんの姿があまりに可笑しかったから」。笑ってくれてよかった。
父は一時「もう何もかもどうでもいい」と投げやりな態度を見せていましたが、今は数独に没頭。
そうそう、弟の葬儀の日、ネクタイを結ぶのに苦労していた父でした。
後日、弟の部屋で見つけたワンタッチ式の弔事用ネクタイを父に渡したら、「こりゃいいな」。
それを見た母がボソッと「いつ使うつもりかいな」。
母と私はこっそり「ほんまやな。自分のお葬式のときしかもう着けるときないがな」と笑いました。
そんなこんなで、遺された両親共に今年92歳もなんとか正気、元気です。