『隠された顔』(原題:Chathur Mukham)
監督:ランジート・カマラ
出演:マンジュ・ワーリヤル,サニー・ウェイン,アランシヤル・レー・ロペス,ニランジャナ・アヌープ,
バブ・アヌール,シャマプラサード,ロニー・デイヴィッド,スリカント・ムラーリ,シャジュ・スリードハル他
明日UP予定の日本作品を観るためにシネ・ヌーヴォへ。
西九条はどうも遠く感じて、普段はほとんど行きません。
コロナのせいで緊急事態宣言が発令され、行き慣れた劇場がほぼ休業していたとき、
営業を続けていた劇場のひとつがここでした。そのとき以来のおじゃま。
12月10日から30日にかけて“第4回インド大映画祭 IDE2023”が開催されていました。
本当は29日に上映されていた『ただ空高く舞え』(2020)を観たかったのに、気づいたときにはチケット完売。
そりゃまぁそうだ。シネ・ヌーヴォにはスクリーンが2つあるけれど、Xのほうは24席ですもんね。
注目度の高いボリウッド作品ならすぐに売り切れてしまうでしょう。不覚。
それで致し方なく30日に上映された本作を鑑賞することに。
2022年のマラヤーラム語作品らしい。マラヤーラム語って何?
インドの南のほう、ケーララ州などで話されている言語だそうです。
すでに退官しながらも科学への情熱を抱きつづける教授クレメントは、
ケーララの農業大学で子どもたちにワークショップを開いている。
保護者も子どもたちの実験を見守り、頼もしげな笑顔。
ある日のワークショップ開催日、保護者でもないのにクレメントを訪ねてきた青年アントニーは、
彼の大学時代から親友関係の女性テジャスウィニについてクレメントに相談したいと言う。
アントニーとテジャスウィニは現在共同で防犯カメラの設置事業をおこなっているらしい。
片時もスマホを手放すことがないテジャスウィニは、寺院の儀式を見学した折、
参列者に突然襲いかかられそうになり、驚いてスマホを池に落としてしまう。
スマホがなければ何もできないが、手持ちの金もなければ店に出向く時間もない。
とりあえず用を足せそうな格安スマホをネットで購入したところ、即届いて大喜び。
ところが、このスマホを入手してからテジャスウィニのまわりで奇怪なことばかり起きる。
彼女自身はかけた覚えのない電話が誰かにかかっていたり、かかってきたり。
薄気味悪くてスマホの電源を切ってしまいこんでも音が鳴る。
思い切って捨てようとすると、テジャスウィニの体に発疹が出る。
そしてスマホを持つとただちに発疹が消えるのだ。
アントニーとテジャスウィニがほかにも同じスマホを買った人がいないか調べると、
何名かは死亡していることがわかる。
まだ生存している持ち主も死期が近いのではないかと思われ、
謎を解明すべくクレメントに協力を仰ぐのだが……。
相当怖いです。サスペンスですか。ホラーでしょ(笑)。
スマホで自撮りすると、画面の隅っこに謎の数字が映ります。
その数字が自分の命のカウントダウンだとしたら。
なかなか笑えるのが、テジャスウィニが買ったスマホは“LISA”。
アップル社製でもないのにスティーヴ・ジョブズの長女の名前が付いている。
実際、アップル社が1983年に販売したオフィス用コンピュータの名前が“LISA”なんですよね。
真相は、投資家に騙された開発者の怨念がこんな形で現れたという非科学的な話。
でも、停電まで起こすこのスマホをどう隔離すべきかなど、
もしも自分がスマホに襲われたときのための参考になると思います。ないっすか。(^^;
邦題は『隠された顔』よりも『スマホを落としただけなのに』(2018)と
『ジェクシー!スマホを変えただけなのに』(2019)に倣い、
『スマホを買っただけなのに』がいいんじゃないでしょうか。
スマホの画面を見っぱなしの娘に向かって父親が発する、「頭を垂れる時代だな」というつぶやきが印象的。
前と上を向いて歩こう。