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『パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ』

2024年04月16日 | 映画(は行)
『パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ』(原題:A la Belle Etoile)
監督:セバスティアン・テュラール
出演:リアド・ベライシュ,ルブナ・アビダル,クリスティーヌ・シティ,パトリック・ダスンサオ,フェニックス・ブロサール,
   ディコシュ,リカ・ミナモト,マルワン・アメスケ,ジャ=イヴ・ベルトルート,パスカル・レジティミュス他
 
この日もの面会に。
余命は最長でも1カ月はもたないと言われてからこの週で3週目。
でもまだ意識がはっきりしています。
声は聞き取れないほど小さくなっているけれど、目の焦点は合っているし、「退屈やねん」と言うほど。
こんな状態なら私は少し遠出しても大丈夫だよねと、面会後にシネ・リーブル梅田へ。
 
世界的人気を誇るパティシエ、ヤジッド・イシュムラエンの自伝を映画化。
モロッコ出身の両親のもと、フランスに生まれた彼は、
22歳の若さにして“Gelato World Cup(冷菓世界選手権)”にフランス代表として出場。
見事パティシエの世界チャンピオンに輝いた人なのだそうです。
それから10年経った今は南仏でパティスリーを経営。
高級ブランドとコラボするなどして、パリでも新店舗のオープン準備中。
夢があります。
 
少年ヤジッドは父親の顔を知らずに育ち、母親のサミナはアル中でネグレクト気味。
連れ込んだ男との間に生まれた赤ん坊の面倒も放棄し、ミルクをやるのはヤジッドの役目。
 
そんなヤジッドだが、里親の家で過ごす時間だけは幸せ。
里親のパスカルとシモーヌは惜しみない愛情をヤジッドに注ぎ、
ふたりの息子マチューも本当の兄のようにヤジッドに接してくれる。
お菓子作りが得意なマチューの影響で、菓子に魅せられるヤジッド。
 
寮生活を送り、食堂でバイトしていたヤジッドにあるとき転機が訪れる。
幼い頃から憧れつづけてきたパティシエに資質ありと認められたのだ。
なんとか母親のもとからも離れようと、チョコレートのコンクールに出場しようとするのだが……。
 
育児放棄する親って、どうしてみんなこんななのか
どんな目に遭わされても子どもはお母さんが好き。
お母さんに気にかけてもらいたくて仕方がないのに、酷い。
そのくせ、子どもが離れようとすると、おまえを愛しているとかおまえのためだとかのたまう。
 
不遇の少年時代を送るヤジッドに愛を注いでくれる里親一家がいて本当によかった。
マチューと一緒にお菓子をつくるヤジッドは目がキラキラしています。
 
自分の不遇を嘆くばかりではなく、切り開いたヤジッド。
運に見放されたかと思ったときもあきらめない。結構大胆不敵です(笑)。
仕事をクビになったとき、自分のパリ・ブレストを気に入ってくれた実業家ブシャールのことを思いついて、
彼が経営するホテルに職を見つけるところなんて、
こういう図太さもあるからこうして生きてこられたのかなと思う。
 
食べてみたいなぁ、ヤジッドのお菓子。

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