夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ある一生』

2024年08月18日 | 映画(あ行)
『ある一生』(原題:Ein Ganzes Leben)
監督:ハンス・シュタインビッヒラー
出演:シュテファン・ゴルスキー,アウグスト・ツィルナー,アンドレアス・ルスト,ユリア・フランツ・リヒター,
   イヴァン・グスタフィク,ロバート・スタッドローバー,マリアンネ・ゼーゲブレヒト,トーマス・シューベルト他
 
テアトル梅田にて4本ハシゴの〆にドイツ/オーストリア作品を。
 
原作はオーストリアの作家ローベルト・ゼーターラーの世界的ベストセラー小説。
御年58歳のハンス・シュタインビッヒラー監督はわりと寡作な人なのか、
日本で公開されたのは代表作の『アンネの日記』(2016)を含めて過去に3作品だけ。
もっと老齢の人が撮ったような趣があります。
 
20世紀初頭のオーストリア・アルプスの麓の町。
私生児だったアンドレアスは、母親の義兄だという叔父の家に引き取られるが、家族として認められることはなかった。
叔父はアンドレアスが同じ食卓に着くことを許さず、叔父の実子たちもアンドレアスをのけ者にする。
農場主である叔父はアンドレアスをこき使い、少しでも失敗すれば骨が折れるまで尻を殴打する。
唯一優しかったのは老婆アーンルで、アンドレアスに料理や読み書きを教えてくれた。
 
年月が経って成長しても、叔父の虐待は相変わらず。
そんなある日、アーンルが急逝し、またしても殴ろうとする叔父にアンドレアスは初めて刃向かう。
アンドレアスから「俺を殴ればおまえを殺す」とにらみつけられ、慌てながら叔父は彼を追い出す。
 
叔父に虐げられたせいかおかげかどんな仕事もできるから、どこへ行っても重宝される。
各地を転々としながら日銭を稼ぎ、やがて貯まった金で見晴らしの良い土地に家を借りたアンドレアスは、
行きつけの食堂を手伝う女性マリーと出会い、初めて恋に落ちるのだが……。
 
不幸としか思えない境遇に遭っても文句を言わず、涙をこぼさず、ただ生きる。
これこそが幸せというものにせっかく巡り逢えたのに、それがまた壊れてしまう。
80年に及ぶ彼の人生は辛くも強く美しく、アルプスの景色に魅了されます。
 
こういう作品を観るといつも、幸せでしたかと聞きたくなりますね。
きっと幸せだったと思いたい。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ひどくくすんだ赤』 | トップ | 『劇場総集編 ぼっち・ざ・ろ... »

映画(あ行)」カテゴリの最新記事