『アリスとテレスのまぼろし工場』
監督:岡田麿里
声の出演:榎木淳弥,上田麗奈,久野美咲,八代拓,畠中祐,小林大紀,
齋藤彩夏,河瀬茉希,藤井ゆきよ,佐藤せつじ,林遣都,瀬戸康史他
ケアマネさんと雑談後、父の薬代を薬局へ払いに行く。
この時点でふと時計を見ると正午少し前。
わぉ、晩に甲子園で贅沢な消化試合を観る前に映画2本観られるやん♪
109シネマズ大阪エキスポシティへ走ったら、ちょうど本編が始まるところでした。
人気脚本家の岡田麿里が手がけた監督第2作となる長編アニメーション。
観はじめたときは難解な話なのかと思いましたが、意外とそうでもありませんでした。
『君たちはどう生きるか』よりずっとわかりやすくて私は好きですね。
とはいうものの、タイトルが「アリスとテレス」である意味はまったくわからない。
アリストテレスにちなんでいるとして、アリストテレスって何をした人でしたっけ。(^^;
菊入正宗は企業城下町の見伏町に暮らす14歳の中学生。
あるとき、この町の製鉄所で爆発事故が起きた瞬間に町が孤立し、住民は閉じ込められてしまう。
どこに行くこともできず、どこからも誰も入って来られなくなった町。
住民はいつか元に戻れると信じ、元に戻ったときに困らないようにと、変化することを禁じる。
何も変化のない町で、退屈ながらも平穏な日々が続く。
そんな折、正宗が嫌っている同級生の佐上睦実に声をかけられ、製鉄所の立入禁止エリアに誘われる。
そこには、睦実にどこか似ている少女が周囲の目から隠されるように生活していた。
少女は言葉もろくに話せず、手足をついて飛び回る、まるで野生の狼のよう。
睦実がずっと世話をしてきたらしく、正宗に交代で少女の様子を見てほしいと言われ……。
爆発事故の後、町はガラスで包まれたかのようになっていました。
事故が起きるまではただの変人と思われていた男(=睦実の継父)が託宣を受けたかのようにふるまい、
何もわからない住民たちは男に従うしかありません。
実はこの町は事故のさいに幻の町になり、人々はもはや生きていない。
毎日変化がないのは生きていないから。
痛みを感じず、成長もしないのに、みんなその事実に気づかないふりをしています。
現実の世界から幻の世界に入り込んだ少女を神とみなし、
彼女がいればずっと幻の世界でみんな幸せに生きて行けると説く男。
少女が出て行けば幻の世界は終わるかもしれない。
けれど、現実の世界で少女を探し続けている親がいると知った正宗と睦実は、
少女をなんとしでても現実の世界に送り届けようとします。
というストーリーだったと思うのですが、一度で全部わかった自信はありません。
本作にも「大嫌い!」という台詞が登場します。
あっちの「大嫌い!」は胸に響かなかったけど、これは結構切なかった。
歳を取ることなく、悲しんだり思い悩んだりしなければずっと生きていられる世界。
でもそれは生きているわけじゃなく死んでいる。
現実と幻、どちらの世界に居続けるのがいいのかなぁ。