夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『湯を沸かすほどの熱い愛』

2016年11月16日 | 映画(や行)
『湯を沸かすほどの熱い愛』
監督:中野量太
出演:宮沢りえ,杉咲花,篠原ゆき子,駿河太郎,伊東蒼,松坂桃李,オダギリジョー他

ダンナ出張中に映画三昧する最後のチャンスの日は109シネマズデー。
109シネマズへ行けば1,100円で観られる日です。

午後休を取ったけれど、いろいろと所用があり、すぐには劇場に向かえない。
銀行→郵便局→ケーキ屋(自分が食べたかったわけではなく任務(笑))→クリーニング屋。
その間に一旦帰宅して布団やクッションのカバーを冬物に交換したかったし、
TSUTAYA DISCASでレンタルしたDVDも観たかったけれど、そんな時間なし。
クリーニング屋にたどり着いたのが17時すぎでした。
18時開映の本作に間に合うだろうと、109シネマズ大阪エキスポシティへ。

銭湯“幸の湯”を代々営んできた幸野家。
一浩(オダギリジョー)と双葉(宮沢りえ)、夫婦で切り盛りしていたが、
一年前に一浩が蒸発。銭湯を休業せざるを得なくなる。

双葉は近所のパン屋でパート勤めをしながら、
一人娘で中学生の安澄(杉咲花)を育てている。
家ではよく話す安澄だが、学校では陰湿ないじめを受けているらしく、
休みたがる彼女を叱咤しながら、なんとか登校させる日々。

そんなある日、突然倒れた双葉。
病院で末期の膵臓癌と診断され、余命2カ月を宣告される。
ショックを受けているひまはない。
双葉は残された時間にやらなければならないことに取りかかるのだが……。

まずは蒸発した夫の捜索。探偵を雇えばこんなにも簡単にわかるのかと苦笑い。
その探偵役にはどんどん父親の鶴瓶に似てくる駿河太郎
夫を引きずり戻しに行くと、なんと浮気相手が産んだ女児・鮎子と同居中。
しかも当の浮気相手は、鮎子を一浩に押しつけて家出。
一浩と一緒に鮎子までもを幸野家に引き入れることに。
この鮎子役の伊東蒼ちゃんが泣かせます。
かわいい顔立ちというわけではなく、逆にぶすっとした顔が時に涙を誘う。
安澄と鮎子を連れて旅行に出る双葉が出会うのは、
松坂桃李演じる訳ありのヒッチハイカー。
また、旅先の食堂の店員には、『続・深夜食堂』で見たばかりの篠原ゆき子。

何もかもを引き受ける大きな大きな愛。
タイトルはそういう意味だったのかと最後にニヤリ。
いやいや、よくよく考えてみれば少々グロいとも言えますが、
いいのだ、これで。

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『続・深夜食堂』

2016年11月15日 | 映画(さ行)
『続・深夜食堂』
監督:松岡錠司
出演:小林薫,河井青葉,池松壮亮,キムラ緑子,小島聖,渡辺美佐子,
   井川比佐志,多部未華子,余貴美子,佐藤浩市,オダギリジョー他

なんばパークスシネマにて、前述の『ジュリエッタ』とハシゴ。
平日のなんばパークスは、最大料金1,000円で駐車できるのが○。
立体駐車場の1階、エレベーターホールすぐのところに駐めれば、
上映終了が23時を回っていても、23時半には帰宅できます。

前作『映画 深夜食堂』の公開は昨年初めでしたから、ほぼ2年ぶり。
DVDでじゅうぶんやろという気もしないのですが、
一日の終わりにこれを観て、気分が悪くなることはあり得ない。
晩ごはん抜きで観ているから、空腹が増してしまうのは想定外でした(笑)。

ひとつめの話は『焼肉定食』。
ある夜の深夜食堂は、お通夜帰りの喪服客でいっぱい。
そこへまたひとり現れた喪服の美女、出版社に勤務する範子(河井青葉)。
ところが彼女の喪服は単なるコスプレで、
仕事で鬱憤が溜まると喪服姿で街へ繰り出し、
焼肉定食をたいらげて活力を取り戻しているらしい。
そんな彼女がある作家の葬儀で知り合ったのが石田(佐藤浩市)。
彼と意気投合してからは喪服姿も封印、順調な交際に思えたのだが……。

ふたつめの話は『焼うどん』。
蕎麦屋の女将・聖子(キムラ緑子)が来店して、
スネかじりの息子・清太(池松壮亮)のことを嘆く。
清太の好物は、蕎麦屋の息子のくせして焼うどん。
そんな清太は15歳上のさおり(小島聖)との結婚を考えているが、
なかなか聖子に切り出せない。
ところがある日、聖子とさおりが深夜食堂で鉢合わせ。
と言ってもお互いに面識がないから、まさか清太の母親・恋人だとは思わない。
聖子はさおりの気っ風の良さを気に入り、こんな人が嫁ならばと言うのだが……。

みっつめの話は『豚汁定食』。
九州からやってきた老婦人・夕起子(渡辺美佐子)。
彼女を乗せたタクシー運転手・晴美(片岡礼子)は、
その様子を見てオレオレ詐欺にあったのだと直感。
交番へ連れていくと、警官の小暮(オダギリジョー)に引き渡す。
朝から何も食べていないという夕起子を連れて、小暮は深夜食堂へ。
彼女が注文したのは豚汁定食。
翌朝九州へ帰るはずが、息子と連絡が取れるまでは東京に居たいという夕起子。
彼女に祖母の姿を重ねたみちる(多部未華子)は、
しばらく夕起子を自分の部屋に泊めると言い出すのだが……。

いやもう、なんちゅうことはないんですけれど、落ち着きます。
美味しい食事とお酒が並べばそれだけで心があたたかくなるし、
そこに人情話が加われば、寝つきもよくなるというものでしょう。

相変わらずの常連客の面々は健在で、
特にいい味を出しているのは宇野祥平安藤玉恵
オレオレ詐欺犯を追う刑事のコンビ、光石研篠原ゆき子もイイ。
さりげなく活躍するオダギリジョーもよかったです。
あえて観る価値があるかどうかは不明ですが(笑)、安心の1本。

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『ジュリエッタ』

2016年11月14日 | 映画(さ行)
『ジュリエッタ』(原題:Julieta)
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:エマ・スアレス,アドリアーナ・ウガルテ,ダニエル・グラオ,インマ・クエスタ,
   ダリオ・グランディネッティ,ミシェル・ジェネール,ロッシ・デ・パルマ他

ダンナの国内出張中、月曜日は伊丹で2本。
火曜日は友人と焼肉食べ放題に行き、きっちり体重増加。
水曜日は体重を元に戻すべく、晩ごはん抜き。
晩ごはんなしでも空腹に気を取られないように(笑)、
連日終業後に遊び三昧でへろへろのなか、なんばまで映画を観に。

ちょっとご無沙汰のなんばパークスシネマ。
一時「なんばパークスシネマ地獄」に陥りかけましたが、
その都度発行される割引クーポンは無視することに。
で、クーポンは期限が切れてしまったから、
水曜日のみがパークスシネマで観るチャンス。

スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の最新作。
前作の『アイム・ソー・エキサイテッド!』(2013)が半端にはっちゃけていたので、
これはどうかなと思っていましたが、好きでした。

マドリードで一人暮らしをする中年女性ジュリエッタ。
恋人のロレンソからポルトガルへ移住しようと誘われ、一緒に行くと決める。
荷造りを終えようかという日、街で懐かしい女性とばったり出会う。

その若い女性ベアは、ジュリエッタの娘アンティアのかつての親友。
つい最近、ベアはコモ湖でアンティアと会ったらしい。
コモ湖へ遊びにきていたアンティアはスイス在住、既婚で3人の子持ち。
急ぐというベアを引きとめ、ジュリエッタはアンティアの様子を根掘り葉掘り尋ねる。

実はアンティアは12年前に家を出ていったきり。
自らの意思でジュリエッタのもとを離れたことはわかっていたが、
娘のいない生活など考えることができず、
当時、警察に通報、探偵も雇ったが、行方を突き止められなかった。

ベアによれば、アンティアはジュリエッタがまだマドリードにいると思っている。
娘と再会する可能性があるのに、マドリードを去ることはできない。
ジュリエッタは理由も告げずにロレンソにポルトガル行きを断るのだが……。

所在がわからないから、書いても出すことのできない手紙。
そんな、娘に宛てた手紙の形で、ジュリエッタの過去が映し出されます。

どこか古くさい印象が残る映像。
しかしメロドラマ的なストーリーとその映像がよく合っていて、
睡魔に襲われても不思議はないのに、眠くはなりませんでした。

ジュリエッタの夫であり、アンティアの父親であるショアン。
彼のいわばセフレで、ジュリエッタの親友にもなったアバ。
ショアンの家の家政婦を務めるマリアン。
そして絶望の淵にいたジュリエッタに笑顔をもたらしたロレンソ。
それぞれとの出会いや関係が丁寧に描かれています。

辛いときを娘に救われ、その娘が自分から去ることなど考えられなかった母親。
娘の気持ちをないがしろにしていたことには長らく気づけませんでした。
だけど、母親の気持ちは母親になるまでわからないものなのですね。
察することはできても、心の奥底までは同じ立場にならなければわからない。

じんわりと来るラストです。
冒頭の深紅が目に焼き付くシーンとは対照的な、ラストの美しい景色。
やっぱり観ちゃうんですよね、この監督。

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『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』

2016年11月13日 | 映画(は行)
『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』(原題:Bridget Jones's Baby)
監督:シャロン・マグアイア
出演:レネー・ゼルウィガー,コリン・ファース,パトリック・デンプシー,
   ジム・ブロードベント,ジェマ・ジョーンズ,エマ・トンプソン他

風邪薬を飲んでから観た『ボクの妻と結婚してください。』に続き、
同じくTOHOシネマズ伊丹にて、2本目に本作を。

今春、ひさしぶりに見たレネー・ゼルウィガーに愕然とした『砂上の法廷』
そりゃ彼女だって今年47歳ですから、老けるのはあたりまえ。
だけど、驚いたのはデコや目尻の皺ではなく、その口もと。
声を聞かなければ彼女だとわからないほどの老け様に痛々しさすら感じ、
その印象が強すぎて、本作を観るのも躊躇していました。
前2作が好きだっただけに、12年ぶりとなる第3弾で劣化した彼女を見るのはツライ。
しかし意外にもその痛々しさがピタリとハマって良作に。

すっかりアラフォー、43歳の誕生日を迎えたブリジット。
TV局の敏腕プロデューサーとしてキャリアを積んではいるが、
運命の人だったはずのマークとはとっくの昔に別れてしまった。
オトコは居らずとも盛大に祝ってくれる友人は居るはずが、
みんな子育てその他プライベートに忙しく、結局ひとりの誕生日。

ある日、同僚でキャスターを務めるミランダに誘われ、野外ロックフェスへ。
イケイケのミランダに「今日最初に出会った男とヤレ」と言われ、
そんな尻軽な振る舞いはできないわと思いつつ、
目の前に現れたイケメンの実業家ジャックにドキドキ。
酔っぱらった勢いでそのままベッドインしてしまう。

ところがその数日後、友人の子どもの洗礼式でマークと再会。
ブリジットと別れたあと、カミラという女性と結婚したマークは離婚協議中らしい。
ついつい気持ちが高ぶって、マークとも寝てしまう。

数カ月後、なんだか太ったと思ったら、妊娠していることが判明。
年齢を考えれば出産はこれが最後のチャンス。
不安はあるものの、妊娠自体は素直に嬉しい。
しかし肝心の父親がジャックなのかマークなのかわからない。
妊娠したという事実と時期のみをそれぞれに伝えるブリジット。
ジャックもマークも大喜びでブリジットに付き添おうとするのだが……。

これが美魔女の類ならば「けっ」と思ったでしょうが、
なにしろ痛々しさ満点のレネー・ゼルウィガー。
同年代の女としては他人事とは思えず、寂しさと可笑しさのバランスが○。
こんなことで悩んでいるのは自分だけじゃないと思えて心強くも。

コリン・ファース演じるマークも、パトリック・デンプシー演じるジャックも、
タイプじゃなかったとしてもとても魅力的で度量の大きな男。
こんな男ふたりが両隣にいてくれたら、幸せを感じること間違いなし。
産婦人科医役のエマ・トンプソン、大好きです。いいなぁ、こんな先生。
写真のみで登場のヒュー・グラントもワラかしてくれます。

妊娠がテーマの作品というのは、たとえば『9か月』(1995)のように、
うんざりさせられてしまうものが多いです。
特にかような理由から子どもを持つことを選ばなかった私にとっては鬼門。
けれども本作は素直に応援できて楽しめる作品でした。

「世界を救いたいと思っていたけれど、君が僕の世界だ」。
すっごい口説き文句じゃありませんか(笑)。

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『ボクの妻と結婚してください。』

2016年11月12日 | 映画(は行)
『ボクの妻と結婚してください。』
監督:三宅喜重
出演:織田裕二,吉田羊,原田泰造,込江海翔,森カンナ,
   眞島秀和,佐藤ありさ,小堺一機,大杉漣,高島礼子他

ふたたびダンナ国内出張。
先々週と同じパターンで、終業後に映画三昧のチャンス到来。

ところで、先週の土日は2日連続結婚式
1年になんぼほど結婚式あるねんと思っていたときでも2日連続はなかったのに、
結婚しそうな友人はもうおらず、いてもバツイチみたいな年齢になって、
まさかの人生初、連チャンでお呼ばれ。
土曜日はかれこれ10年以上のおつきあいになるレストランのスタッフ、
日曜日は生まれたときから知っている、友人の息子。
どちらも式と披露宴にお招きいただき、ものすごく楽しかった。
先日、『何者』を観たときはイマドキの就活事情に驚き、
この週は結婚式に出席してイマドキの披露宴に感心しました。

同じテーブルだったこれまた旧知のお店のオーナーがおっしゃっていましたが、
結婚式会場のツライところは、リピーターがいないというところ。
そして未婚の出席者がいくら良かったと思ってくれても、
新郎新婦の友人であるかぎり、出席者自身が同じ式場を使うことはまずないということ。
そりゃそうですね、リピーターになって何度も挙式する人なんていないし、
自分が挙式する段になっても、友人と同じ会場は普通は避けるでしょうから。

というのは余談。そんなわけでとても楽しかったけれど、さすがに2日間、
いつもより多少は気張った服を着て、食べて飲み倒したらそりゃ疲れる。
風邪も引きかけているようなのに、映画三昧して大丈夫なのか。
それでも機会を逃すのは惜しくて、月曜日はTOHOシネマズ伊丹へ。
風邪薬を購入してそれを飲んでから映画を2本鑑賞しました。

原作は放送作家・樋口卓治の同名ベストセラー小説。
2014年に舞台化、2015年にはTVドラマ化されました。
それらで夫婦を演じたのは『金メダル男』と同じ、内村光良木村多江だったのですね。
舞台もTVドラマ版も観ていないのでなんとも言えませんが、この映画版はビミョー。
監督を知って納得、『レインツリーの国』(2015)の三宅喜重なんだもん。

バラエティ番組の放送作家として活躍する三村修治(織田裕二)は、
膵臓癌で余命半年、もって1年と宣告される。
妻の彩子(吉田羊)と陽一郎(込江海翔)に打ち明けられず、途方に暮れていたが、
ふと人生最後の「企画」を思いつく。それは妻の結婚相手をみつけること。

知人である結婚相談所所長の知多かおり(高島礼子)の協力を得て、
彩子にふさわしい相手を探しはじめた修治は、伊東正蔵(原田泰造)と出会う。
インテリア会社を経営する正蔵は、履歴書を見れば最高。
実際に会ってみると、その人柄も素晴らしく、これ以上の相手はいない。
どう彩子に話を切り出すか悩んだ挙げ句、心を偽って離婚話を持ちかけるのだが……。

なにしろ“踊る大捜査線”シリーズが大好きだった私ですから、
織田裕二は決して嫌いではありません。
けど、この人はTVドラマ向きだなぁと今さらながら思います。
ま、たぶん、織田裕二のせいではなく、この監督のせいなのでしょう。
典型的なお涙頂戴に走りすぎていて、あざとすぎる。

と言いつつも、『レインツリーの国』にはドン引きして一滴の涙も出なかった私、
これはそこそこ泣きました。結局泣いとるんかい(笑)。
吉田羊演じる彩子みたいな女性、こんな奥さんがいたら素晴らしい。
夫と一緒に夢を見て、夫が大切にしている人は妻にとっても大切な人。
だからその人のために何千万という借金を背負わされても、笑って受け入れられる。
いやいや、なかなかできないでしょ、こんなこと。
いい子ちゃんすぎるところもあざとさを感じるわけですが、
『レインツリーの国』の主演コンビよりは年齢的にも共感できました。

ユーモアと素直さを大切に。

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