夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『GANTZ:O』

2016年11月06日 | 映画(か行)
『GANTZ:O』
総監督:さとうけいいち
監督:川村泰
声の出演:小野大輔,M・A・O,郭智博,早見沙織,池田秀一,ケンドーコバヤシ,
     レイザーラモンRG・HG,津嘉山正種,小野坂昌也,津田健次郎他

木曜日、前述の『映画 聲の形』とハシゴ。
同じくTOHOシネマズ西宮にて、4DX版を観ました。

原作は奥浩哉の同名コミック。
二宮和也松山ケンイチ共演で実写化された『GANTZ』(2010)。
今回のアニメ版、「O」って何かと思ったら、「大阪」のこと?

小学生の弟と二人暮らしの高校生・加藤勝は、
地下鉄で通り魔に襲われた人を助けようとして、自らも命を落とす。

目を覚ますとそこはマンションの一室。
“ガンツ”と呼ばれる奇妙な黒い球体と、黒いスーツを着た男女数名がいる。
自分は死んだのではないのか。
混乱する加藤に黒スーツの中の一人で中年男の鈴木が説明を試みるが、
何度説明されても加藤は理解できない。

そうこうしているうちにガンツが起動し、何事かが始まった模様。
意味がわからないまま、加藤も急いで黒スーツを着る。
やがて転送が始まり、加藤たちが飛ばされた場所は大阪・道頓堀。

加藤たちに課せられたミッションは、大阪の町を跋扈する多数の妖怪を殲滅すること。
ぬらりひょんや天狗など、ミナミ近辺を縦横無尽に歩きまわる妖怪たち。
奴らを制限時間内に殲滅しなければ、加藤を含むメンバー全員が「本当に」死ぬらしい。
苦戦していたところへ、同じミッションに挑む大阪組が登場。
次々と妖怪たちを撃退していくのだが……。

そこそこ面白かったのですが、戦法に工夫がないのが不満。
正義感だけは強いけれど、イマイチ強くない加藤だから、
頭脳プレーを見せてほしいのに単純で残念。

そして何よりも不満なのは、TOHOシネマズ西宮の4DX。
風圧が強すぎるし、水しぶきもしょっちゅう降りかかりすぎて、
しかもやっぱり一体感がないから、画面に集中できないんです。
109シネマズの4DXは風や水を停止できるようになっているのですが、
TOHOシネマズではスイッチの切替ができるのかどうか不明。

大阪組の名前が岡八郎(本物は岡八朗ですが)、室谷信雄、
島木譲二、木村進などという実在のお笑い芸人の名前なのも楽しい。
が、西宮の4DX、もう要らん。(^^;

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『映画 聲の形』

2016年11月05日 | 映画(か行)
『映画 聲の形』
監督:山田尚子
声の出演:入野自由,早見沙織,悠木碧,小野賢章,金子有希,
     石川由依,潘めぐみ,豊永利行,松岡茉優他

月・火曜日は終業後に2本ずつ観たらさすがに疲れてヘロヘロ。
水曜日は『スター・トレック BEYOND』の1本のみで帰宅。
ダンナが出張から帰ってくるまでに残された日はあと1日だから、
気を取り直して木曜日、またまたTOHOシネマズ西宮で2本。
上映中の作品で観ていないものはほとんどなく、消去法で観そびれていた本作を。

前知識まったくなく観たら、ものすごくヘヴィーで参りました。
おかげで疲労Max、寝不足にもかかわらず、睡魔には襲われることもなく。
『別冊少年マガジン』および『週刊少年マガジン』に掲載された大今良時のベストセラーとのこと。
へ~、これも少年漫画なのですね。良い漫画に男女の垣根なし。
2015年の『このマンガがすごい!』のオトコ編で1位にランキングされたほか、
同年の『マンガ大賞』の3位、『手塚治虫文化賞』の新生賞などにも選出されています。

小学6年生のガキ大将、石田将也(しょうや)。
働き者で明るい母親と二人暮らしで、姪っ子を預かることも多い。
学校では同級生の島田一旗や広瀬啓祐、植野直花らと毎日楽しく過ごしている。

そんな将也のクラスに、聴覚障害を持つ西宮硝子(しょうこ)が転校してくる。
筆談用のノートを掲げ、これで自分と話をしてほしいという彼女。
しかし、空気の読めない部分もある彼女に同級生らは戸惑い、
耳が聞こえないのをいいことに、植野は背中越しに悪口を言いはじめる。
そればかりか、硝子と親しくなった佐原みよこまで心ないことを言われ、
みよこはやがて学校に来なくなってしまう。

硝子に対する将也のいじめは次第にエスカレート。
暴言は序の口で、ノートを水浸しにしたり、耳から補聴器を乱暴に抜き取ったり。
怪我を負わされても逆に謝り、笑顔を絶やさない硝子だったが、
常態化したいじめに硝子の母親が憤り、再び転校を余儀なくされる。

ところが硝子の転校後、どうしようもないいじめっ子として将也がハブられる。
周囲から孤立し、心を閉ざしたまま高校生となった将也は自殺を決意。
その前に硝子に会っておこうと思うのだが……。

あまりにヘヴィーで、冒頭からへこたれそうでした。
このところのアニメは『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2013)、
『心が叫びたがってるんだ。』(2015)もそうだったように、
ただ観て笑い楽しむだけのものではないようです。

いじめっ子はなぜいまさら謝りたいと思うのか。
相手のためというよりは、自分がすっきりしたいからなのか。
むかし自分をいじめた奴を許せるものなのか。
許して、そのあとはどうなるのか。
そこに障害も絡んでいるので、簡単には何も言えません。

かくいう私も幼稚園のとき、いじめられっ子でした。
登園初日に「お母さんと離れたくない」と号泣したのがウザかったらしく(笑)、
背の順に並ぶと私を挟んで前後になる女の子(そのふたりはいとこ同士だった)から
頭に砂をかけられたりして、2年間いじめ抜かれました。
片方とは小学校も同じでしたが幸いにして6年間同じクラスにはならず。
もっとも、ふたり揃わなければ力は発揮できないようで、
いじめたことなどないように振る舞う彼女のことが大嫌いでした。
今でも絶対に許せません。それで自分の子どもを持つのが怖かったということもあります。

そんなこともあったから、気持ちはとても複雑。
すべてよかったということはできないけれど、
いじめる側、いじめられる側、双方の友人、身内など、
いろんな立場の人の心の内は代弁できているところも多いのではと思います。
これまでスルーしてきたけれど、観てよかった。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『スター・トレック BEYOND』

2016年11月04日 | 映画(さ行)
『スター・トレック BEYOND』(原題:Star Trek Beyond)
監督:ジャスティン・リン
出演:クリス・パイン,ザカリー・クイント,ゾーイ・サルダナ,サイモン・ペッグ,
   カール・アーバン,アントン・イェルチン,ジョン・チョー他

毎週火曜日はパンを買いに行き、水曜日はその食パンをダンナ実家へ配達するのが常。
前日の火曜日はパン屋経由で西宮へ行って映画2本。
水曜日は実家へ寄ってから西宮へ行くのは無理だから109シネマズ箕面で。
時間的には2本観られないこともなかったのですが、
ダンナの出張中に映画三昧すると、毎回3日目辺りから首に違和感。
どうも寝不足のせいで疲労、リンパ腺が腫れてくるようなのです。
2本目の候補として考えていた作品の評判がよくなかったこともあり
(ちなみに、ナタリー・ポートマン主演の西部劇『ジェーン』です)、
この日は本作1本だけを観ておとなしく帰ることにしました。

“スタートレック”シリーズを全然知らない私ですが、
そんな素人の私でも楽しめた『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(2013)。
その続編だから、やはり素人のままでも大丈夫。IMAX3D版を鑑賞。

USSエンタープライズ号の艦長ジェームズ・T・カークは、
エイリアンとの会議に赴き、パワーストーンの平和的利用を訴える。
しかし交渉は決裂、エイリアンたちの襲撃を受けてエンタープライズ号に舞い戻る。
カークはパワーストーンの破壊的利用を恐れ、厳重に保管する。

宇宙基地ヨークタウンに寄航した折り、未知の宇宙船に乗る女性から、
星雲のなかに取り残された仲間を救出してほしいと懇願される。
カーク一行はただちに協力を決めるが、それは巧妙に仕組まれた罠だった。
クラールという異星人をリーダーとする軍団が攻撃を仕掛けてきて、
エンタープライズ号のクルーはほぼすべて捕らえられてしまう。

それぞれ不時着したカークとチェコフ、スポックとボーンズ、スコッティは、
生き残りの仲間がどこかにいないかとうろうろ。
スコッティはその地に隠れ住むジェイラに助けられる。
やがてカークたちとも再会を果たし、ウフーラやスールーらクルーを救出すべく、
クラールが納める基地へと向かうのだが……。

前作までメガホンを取っていたJ・J・エイブラムス
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)のせいで多忙を極めて抜け。
新監督の座についたのは、『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013)のジャスティン・リン。
細かい評価は“スタートレック”ファンにまかせるとして、
私のような者でもわかりやすいストーリーと親しみやすいキャラクター。
ま、サイモン・ペッグが脚本を書いて出演しているというだけで
私の評価は甘くなってしまうのですけれども。

チェコフ役のアントン・イェルチンはまだ27歳だったのに、
今年の6月に車と郵便受けの間に挟まるという悲惨な事故で死亡。
これからますますの活躍が期待されていただけに本当に残念です。

USJの“バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド”でゲロ酔いしそうになる私は、
本作のエンドロールでも酔いそうになりました。
お願い、前後に揺れるのはいいけれど、横揺れは止めて。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『映画 闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』

2016年11月03日 | 映画(や行)
『映画 闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』
監督:山口雅俊
出演:山田孝之,綾野剛,永山絢斗,真飛聖,間宮祥太朗,YOUNG DAIS,
   マキタスポーツ,高橋メアリージュン,崎本大海,やべきょうすけ他

前述の『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』とハシゴ。
平日毎晩2本ずつというのは体力的にものすごくキツイ。
だけどこれもどうしても観たかったのだから仕方ない。
面白い映画を観れば、家に帰り着くのが午前0時になろうとも翌日がんばれます。

『映画 闇金ウシジマくん Part3』を観てから1カ月空かずの続編。
これで終わってしまうのかと思うととても寂しい。
でも寂しいぐらいのうちに終わるのがいいのかもしれません。

法外な金利で金を貸す闇金業者“カウカウファイナンス”。
ある日、社長・丑嶋馨(山田孝之)を訪ねてやってきた変な奴。
それは丑嶋の中学時代の同級生・竹本優希(永山絢斗)だった。
金を貸してほしいという竹本に、丑嶋は「それは友人としてか、仕事としてか」。
前者であれば、友人と金の貸し借りはいっさいしない主義、
後者であれば、友人といえども取り立てに容赦はしないと言う。

何があったか文無しの竹本。そんな彼に声をかけてきたのが鰐戸三兄弟。
二郎は竹本に仕事と部屋を提供してやるからついてこいと巧みに誘う。
行った先は「誠愛の家」という見るからに怪しい場所。
鰐戸三兄弟はここで行き場のない弱者を食い物にする貧困ビジネスを展開中。

実は鰐戸三兄弟は中学時代に丑嶋と因縁があった。
長男・一(安藤政信)、次男・二郎(YOUNG DAIS)、三男・三蔵(間宮祥太朗)は、
竹本が“カウカウファイナンス”で金を借りたことを知り、
丑嶋に復讐する絶好のチャンスだと考える。

一方、カリスマ美容家・今井万里子(真飛聖)も“カウカウファイナンス”に借金を申し込む。
人寄せのパーティで思ったよりも金が集まらず、返済が苦しくなりそう。
そんなとき、弁護士・都陰亮介(八嶋智人)と懇意になり、過払い金返還請求を勧められる。
借金を返済するどころか、元金もすべて取り戻せるという話に喜ぶのだが……。

中学時代の丑嶋が描かれ、柄崎(やべきょうすけ)や戌亥(綾野剛)、
犀原茜(高橋メアリージュン)とのなれそめやしがらみがわかります。
見入ってしまったのは14歳の丑嶋を演じる狩野見恭兵
歩き方で丑嶋であることを表現しているうえに、
声やしゃべり方なんて、山田孝之のアテレコかと思うくらい。

母親はおらず、ろくでなしの父親だけ。そんな父親のことも見捨てたりはしない。
群れでしか悪さのできない不良たちにひとりで立ち向かう丑嶋。
しかしたとえ敵であった者に対しても、理由次第では仁義を切る。
これはやっぱり女も男も惚れるでしょう。

ちょっぴり寂しく切ないエンディング。ジワッと来ました。

中学生ぐらいかなぁ、2人で来ていた男の子。
女性がハダカになるシーンで「おっ!」。
胸ぐらいで興奮しすぎやっちゅうの(笑)。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』

2016年11月02日 | 映画(は行)
『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』(原題:Genius)
監督:マイケル・グランデージ
出演:コリン・ファース,ジュード・ロウ,ニコール・キッドマン,ローラ・リニー,
   ガイ・ピアース,ドミニク・ウェスト,ヴァネッサ・カービー他

火曜日は食パンを買いに行かねばならない日のため、
月曜日よりちとハードなスケジュール。

終業後に新御(しんみ)を北へ向かい、阪急箕面駅近くで食パンを購入。
今度は駅から南へ向かって国道171号線へ出ると、ひたすら西へ。
TOHOシネマズ西宮へ到着したのは18:25。
職場から必死のぱっちで劇場へ直行した前日が18:10着だったから、
寄り道してもそんなに変わらないのですね。

本作は19:10に上映開始。
終業後に映画三昧の数日間のせいで本をちっとも読めてないやんと思いつつ、
持参した本は読まずに西宮ガーデンズ内をうろうろ。
あっというまに時間になって、西宮ではいちばん好きなシアター12へ入場。

同じTOHOシネマズでも伊丹では上映していないから、
この日はこれを観るために西宮まで行ったようなもの。
ピューリッツァー賞作家のA・スコット・バーグによる全米図書賞受賞の評伝本、
『名編集者パーキンズ』を映画化した伝記ドラマ。
マイケル・グランデージ監督の情報がほとんどなく、これがデビュー作の模様。
1本目からこんな豪華キャストを起用できるなんて、すごい。

1929年のニューヨーク。
老舗の出版社チャールズ・スクリブナーズ・サンズに勤めるマックス・パーキンズは、
アーネスト・ヘミングウェイF・スコット・フィッツジェラルドを発掘した名物編集者。
郊外の屋敷に妻ルイーズと愛らしい娘たちに囲まれて暮らすが、
寝ても覚めてもそのほとんどの時間を原稿の編集に費やしている。

ある日、彼のもとへ無名の作家トマス・ウルフの原稿が持ち込まれる。
アリーン・バーンスタインという著名な衣装デザイナーの愛人で、
彼女は家庭を捨ててトマスのもとへ走り、面倒をみているらしい。
アリーンの口添えでニューヨーク中の出版社に持ち込まれたが、
全社から駄目出しを喰らったとのこと。

たらい回しにされたその原稿を読み、マックスはトマスに才能を見出す。
またしても断られると観念していたトマスに、マックスは「ウチから出版する」。
興奮を隠せないトマスに、マックスは条件を付ける。
膨大な枚数の原稿を大幅に削減すること、タイトルも変更すること。
以後、マックスとトマスは激論を重ねながら編集作業に取り組む。
こうして完成したトマスの処女作『天使よ故郷を見よ』は瞬く間にベストセラーに。

トマスの人気が高まっていくなかで、アリーンと過ごす時間は激減。
マックスにトマスをとられたと感じるアリーンは殺気立ち、
また、マックスのほうもルイーズとの関係がぎくしゃくしはじめるのだが……。

地味ながら名優ぞろい。
マックス役のコリン・ファースは、渋く丁寧な演技が光ります。
ジュード・ロウはちょっと変人のトマスを快演。
それにしてもジュードはハゲへの道まっしぐらだったはずが、どうやって増毛したのかしらん。
ホラーばりの怖さを見せつけるのがアリーン役のニコール・キッドマン
慈愛に満ちたルイーズ役にはローラ・リニー
フィッツジェラルド役にはガイ・ピアース、ヘミングウェイ役にはドミニク・ウェストと、
みんながみんな味ある芝居で、眠気に襲われることいっさいなし(笑)。

『グレート・ギャツビー』のタイトルにまつわる話や、
その『ギャツビー』で売れたあと、まったく書けなくなったフィッツジェラルドの苦悩、
ヘミングウェイのウルフ評なども小ネタ的なおもしろさ。
堅物のマックスをトマスが連れ出し、ジャズの即興演奏を聴くシーンも心が躍ります。

現在放映中のTVドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の原作、
宮木あや子の『校閲ガール』がおもしろかったのですが(読了時のレビューはこちら)、
重厚感の点ではまるで異なるそれと本作、編集者の仕事はやはり同じなのだと感じます。

傑作を読者に届けること、それだけが編集者の望み。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする