雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

微妙な問題

2018-12-26 19:28:42 | 日々これ好日
        『 微妙な問題 』

     国際捕鯨委員会(IWC)から脱退へ
     鯨を食用にするのは わが国には長い歴史がある
     捕鯨はわが国の文化だ という声もある
     牛は殺してもいいが鯨を殺すのはいけないのか という声もある 
     同時に 鯨を商業利用している国は 世界の中では少数派だ
     長い伝統がある わが国の文化だ と叫び続けることが
     世界の主要国の一つと自負するなら 世界の世論を無視出来ない とも思う
     実に 微妙な問題だ

                         ☆☆☆

     
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初桜花

2018-12-26 08:19:19 | 新古今和歌集を楽しむ
     ゆかん人 来ん人しのべ 春霞
              たつたの山の 初桜花  
 


                 作者  中納言家持  

( No.85  巻第一 春歌上 )
            ゆかんひと こんひとしのべ はるがすみ
                      たつたのやまの はつざくらばな   


* 作者の大伴家持は、万葉集を代表する歌人の一人である。(718~785)享年六十八歳。七十歳であったという説もある。

* 歌意は、「 この地を去っていく人も、この地にやって来る人も、思い慕えよ。春霞が立っている 立田山の初咲きの桜の花を。」といったものであろう。なお、立田山は奈良県生駒郡にある実在の山。

* 家持は、「新古今和歌集」にも十一首採録されているが、その歌風はいわゆる新古今調といったものではなく、「万葉集」を代表する歌人の一人と言える。
「万葉集」には、長歌・短歌合わせて473首が収められており、全体の一割を超えている。万葉歌人となれば、柿本人麻呂をはじめ現代においても著名な歌人が大勢いるが、採録歌の数では家持が抜きん出ている。
ただ、家持は、万葉集の撰者とされるが、むしろ完成させた中心人物であり、その採録されている歌の数の多さをもって万葉歌人の第一人者とするのは正しくないように思われる。

* 大伴氏は、むしろ古代豪族として歴史上に大きな足跡を残している。それは、物部氏と共に天孫降臨の時代までも遡り、その武勇は古代豪族の第一位に位置付けすべき一族であった。
家持は、まさにその大伴氏の嫡流にあたるが、すでに武勇をもって朝廷に仕える大伴氏の地位は下降を続け、家持の生涯も、苦難に満ちたものであった。
なお、大伴氏の姓は、家持没後四十年ほど後、平安時代初期に「伴氏」に改姓している。淳和天皇の即位に伴い、天皇の諱(イミナ)を憚ったものである。
そうしたことからも、大伴家持には、古代豪族の悲哀が色濃く感じられるのである。

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