雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

赤ちゃんパンダ

2018-12-17 19:08:34 | 日々これ好日
        『 赤ちゃんパンダ 』

     和歌山県白浜 アドベンチャーワールドの赤ちゃんパンダ
     本日 命名された
     どこかの駅名と違って スムーズに決まったようだ
     それにしても パンダ それも赤ちゃんとなれば
     実に可愛い
     彼らは 人間に気にいられようと思って あの姿になったわけではあるまいが
     せめて 健やかに育ってほしい

                           ☆☆☆
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憂鬱な日々

2018-12-17 08:09:41 | 麗しの枕草子物語
     麗しの枕草子物語 
               憂鬱な日々

道隆殿がお亡くなりになった後、いろいろ事件が起こり世の中が騒がしくなってまいりました。
中宮さまもご参内を控えられ、小二条殿という所に移っておられました。

私も、何かと不愉快なことがございましたものですから、宿下がりをしてから久しくなりました。
と申しますのは、このところ道長殿の権勢が高まるとともに、中宮さまご一族との軋轢が高まり、ご不運なことが起こってしまいました。
女房たちの多くが、「少納言は道長と親しい」からと私を煙たがり、露骨に避ける人さえ出てきましたので、とても中宮さまにお役に立つお仕えなど出来ないと思い自宅に下がったのです。

そんなある日、右中将源経房殿がお越しくださいました。
「今日、中宮さまのもとに参上いたしました。皆さま、季節にぴったりのご装束で気を緩めることなくお仕えされておりました。御簾のそばの開いている所から見ますと、女房たち八、九人ばかりが、なかなかしゃれた服装でいらっしゃいました。
前栽の秋草がとても茂っていましたので、
『どうしてこんなに茂らせているのですか。刈り取らせなさいよ』と言いますと、
『露を置かせて御覧になられる、と中宮さまが仰いますのでね』と、宰相の君の声で答えがありましたが、風流なことですよねぇ。
『少納言の御里下がりは、全く気がかりです。中宮さまが内裏を離れて、このような所にお住いになる時には、どんなことがあっても彼女はお側にいるものと中宮さまは思っていらっしゃるでしょうにねぇ』と、何人もの女房が言っていたのは、
『あなたにお伝えして欲しい』という気持ちからだったのでしょう。
ぜひ、参上なさいませ。ほんとに情緒にあふれた庭で、台の前に植えられた牡丹は、格別の風情ですから」
と、お話になられる。

牡丹など、この季節では枯れ果てていることでしょうに、右中将殿が白楽天の詩を引いて、中宮さまのお寂しい気持ちを伝えてくれているのですが、
「さあ・・・。皆さんが『私を憎い』と思っていらしたことが、反対に私の方が憎らしいと感じてしまいましたのでねえ」
と、お答えしました。
「まだ、そんなことを言っておられるのですか」
と、お笑いになられる。

しかし、実際に中宮さまのご機嫌を損じたわけではなく、周りにお仕えの女房たちが、「少納言は左大臣道長殿側の人だ」と噂し、私が近づくと話をやめたり、のけ者にしようとする様子などがあからさまなのに嫌気がさしてしまったもので、中宮さまの「参上せよ」という再三のご命令を無視しているのも気にはなっています。
ほんとうに憂鬱な日々でございました。


(第百三十六段・殿などのおはしまさで後、より)
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