マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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山添村北野の井戸替え

2010年09月15日 05時50分21秒 | 山添村へ
盆入りの七日は各地で井戸替えが行われている。

山添村の北野では地域の共同井戸である中継槽を朝から掃除した。

山に水源地がある。

そこからパイプで引いてきた水を一旦水槽に落としこむ。

二カ所の谷を越えて流れてきた谷の水。

共同利用されている7軒の人たちは朝から水源地やパイプの状況を点検してきた。

パイプは流水できるようにしておかねばならない。

途中で山折りになっていれば空気が溜まって流水できない。

空気の圧力が水を流さないのだ。

バルブの栓を開けて空気を抜く。

中継槽は2カ所あった。

水圧がにぶくなって一カ所は撤去された。

そこでは濾過していた。

最初に大き目の石を敷く。

その上には炭だ。

さらにシュロの葉を敷き詰めて粗い石を敷いていた。

当時は飲料水に使っていたが、水道も引かれるようになり、谷水も濾過もしなくなったので現在は家庭の洗水などで使っている。

しかし、水道の水はカルキが入っているので頭が痛くなると話される。

最近の気象状況も影響しているのではないかと前置きされて話したのは「山の保水能力の低下」。

年間雨量はさほど変わらないが集中豪雨が多くなってきたという。

シトシト雨は自然と山に染みこんでいく。

それがいっときに振れば流れるだけだという。

山に染みこんだ水は湧き水となって谷水に。

それが美味しい水だという。

中継槽はコンクリート作り。

深さは2m以上もある。

梯子を掛けて降りていった二人。

水を掻き出してバケツで汲み上げる。

泥水状の谷水は何杯出しただろうか。

4人で行っていた汲み出し作業が終わるころ、谷水やパイプを点検してきた3人と合流した。

この日はウナギを食べるのが楽しみなんだと話される。

4、50年も続いているだろ作業後の会食はウナギ料理と決まっている。

かつては当番のヤドの家で買ってきたウナギを料理していた。

月ヶ瀬にはウナギ捕りの名人が居たそうだ。

11軒から7軒に減った共同井戸利用の家。

10年ほど前、料理もたいそうになってきたので料亭に替わったという。

土用丑のウナギ喰いは一年間の水に感謝する慰労会だと話す。

家にも井戸があるが使うことがなくなったそうだ。

そこも井戸替えをしていた。

深さはそうとうなもの。

水温は13度。

長時間の作業になれば痛くなってくるという。

(H22. 8. 7 EOS40D撮影)