マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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下笠間無縁仏地蔵参拝

2010年09月29日 07時32分29秒 | 宇陀市(旧室生村)へ
下笠間に住むM家とI家。

施餓鬼の朝は地蔵菩薩に参る日だ。

地蔵さんに供えるのはセキハン(赤飯)でこしらえた小さなオニギリ。

両家で合計108個作る。

地蔵さんは平成4年に造成された崖崩れ防止壁を登ったところにある。

昔、山が崩れて流れてきたという石塔もある。

宝印塔のような形が残されている。

かつて山の上に坊があったらしい。

その横にあるのが地蔵菩薩さん。

これらは壁を作る際に山から出てきた地蔵さん。

寄せて一緒にした。

そのうちの一つは元の場所が良いと言ったので井戸傍へ戻したという。

オニギリの数は数珠の数。

オガミさんがそうせよと言ったからそうしているのだと話す。

30年ほど前のことだと語り始めたIさん。

「当時、頭が痛くなった日が続いた。半分は見えるが半分は真っ暗。やたらと主人に当たり散らした。オガミさんにみてもらったら母と子供の無縁さんだという。両家の裏山にある無縁さん、どうか成仏してくださいと自然に車が向かった先は壺坂寺だった。お参りしたら父親が現れ、観音さんが合わしてくれはった。そうするとつきものがとれたようにすっきりした。それからは無縁仏地蔵参拝を欠かさずしている」という。

参拝は施餓鬼のアトサキ3日以内であればいつでもいいそうだ。

線香をくゆらせ始まった。

ガキドウに落ちた無縁さんを成仏するようにと般若心経三巻唱えて供養する。

この行事は「地蔵盆」と称している。

お下がりのセキハンオニギリは山の神さんに供えられる。

裏山は神さんの山と呼んでいる。



正月7日にホウレン(ホウデンが訛った)を供えた磐代の壇など数カ所に一つずつ置いた。

さらに上へ登っていく。

葉っぱの上を歩けばずるずると下がっていくほどの急斜面だ。

しばらくするとMさんが見えなくなった。

一方のIさんは砂防崖の道を行く。



陽が照る方向の斜面にあるのは阿弥陀さん。

ここへもオニギリを供える。

急斜面を登っていくIさん。

樹木の根っこや岩下などに供えながら登っていった。



80歳にもなるが足腰は元気でついていくことはできない。

108個の御供。寒施行の様子を思い出したが、真夏日が続く日はまるで酷暑に彷徨う勤行。

それは山に住む獣(天狗が住む山だとも)に与える施行のように感じた。

かつて薬師堂があった畑。

およそ80年も前に春覚寺に移された。

そこは今でもヤクシサンの地と呼ばれている。

(H22. 8.23 EOS40D撮影)