マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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佐紀の節分

2012年03月16日 08時04分03秒 | 奈良市へ
節分の日は豆を持って氏神さんやお寺へお参りをする。

その際には既に参られた人が供えた豆を持ち帰る。

そのようにして豆を交換する風習が地域で行われているが、必ずしもすべてではない。

平成19年の秋祭りの布団太鼓台のお練りを取材させていただいたおりに聞いていた奈良市佐紀の門外(もんがい)釣殿(つりどの)神社の節分。

その日は朝から清掃をされる年番さんが境内を奇麗にされていた。



その前には立御膳と呼ばれるお供えを神前に供えられていた。

お神酒、洗い米とともに供えられる立御膳はニンジン、ダイコン、ゴボウを立てて器に盛る。

他にメザシやフ(麩)も供える。

年中行事でお決まりの節分のお供えである。

祭典は大和郡山の柳澤神社の宮司を迎えて行われる。

その日の夕方、地域の人たちが豆を持ってきてお参りをされる。

何人の人が来られるのかそのときにならないと判らないという年番のFさん。

夜遅くまで参拝者を待つというだけに節分の日は一日仕事になるそうだ。

小字西畑の釣殿神社から僅か数十メートル東に鎮座するのが小字亀畑にある佐紀神社である。

御前池の西と東側にある両神社。

平安時代のころ、亀畑の佐紀神社から分霊を祀ったのが釣殿神社であると門外氏子青年団のFさんが話していたことを思い出す。

佐紀神社でも年番さんが清掃をされていた。

二条町に住む氏子さんである。

町内は30軒ほどであるが、年番を務められるのはそれぞれの事情もあって回りは8年ぐらいになるという。

年番を務めるのはこの月から翌年の1月まで。

一年間の祭祀を務める。



久しぶりに回ってきたのですっかり忘れているが、毎回の行事にはシトギを供えると話すYさん。

当番の家で米を挽いて粉にする。

水に浸して塗りの椀に盛って供える。

神事を済ませて座小屋でそれを取り分けバランに乗せる。

座の人はそのシトギを食べるという。

シトギ(粢)を食される行事はそれほど多くない。

これまでにも奈良市池田町の熊野神社、大和郡山市満願寺町の古田神社で拝見したことがある。

神社ではないが天理市杣之内町木堂の彼岸講や奈良市柳生町の山脇の山の神でも供えている貴重な様式。

本来のコメの味がするシトギを供える形式は古い時代を現しているだけにいずれは再訪したい神社行事に砂撒きもあるという。

大晦日に年番が調える注連縄は簾型。

正月行事も見逃せない神社の節分は夕方に春日系の神官が来られて神事が行われるそうだ。

神事が終わるころに氏子らが持参する豆御供。

当地でも同じように豆を交換して持ち帰る。

(H24. 2. 3 EOS40D撮影)