マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

柏木町素盞嗚神社のヨイミヤ

2014年03月05日 07時34分17秒 | 大和郡山市へ
柏木町と云っても奈良市ではなく大和郡山市南端になる旧村の柏木町。

氏神さんを祀る素盞嗚神社付近を中心に10数軒の旧村集落だ。

柏木町のマツリは10月17日と18日。

村内の辻々にご神燈を掲げた。

マツリの前夜はヨイミヤである。

拝殿前に高く掲げた提灯立て。

昔から五つの氏子提灯を掲げていると云う。

宮さんの祭祀を勤めているのは自治会役員の3人。

この夜に行われる御湯の斎場を設えた。

20年ほど前は深い穴を掘って、佐保川から掬った土をとってきて竃を作っていた。

シバと呼ぶマキ(雑木)を燃やして湯を沸かしたと云う。

今では竃でなくプロパンガスで沸かす。

当時使っていた古い釜は神社の蔵に保管していたが刻印は見られなかった。

直径は50cmぐらいだ。火点けをするのは消防団員。

火消し・防火の守りをするために任につく。

御湯場の傍に立てた藁束は12本。

洗い米、酒、塩、キリヌサなども準備する。

時間ともなれば当家とともにやってきた巫女さんは三郷町の阪本さん。

いつもお世話になっている。

大ばあさんに連れられてきた当時はまだ少女だった。

そのころは境内や当家宅で遊んでいたと云う。

御湯を始めるにあたり作業をしている巫女さん。



手際良く結った藁を腰に巻いた。

村人のたっての頼みで腰に巻いたサンバイコである。

御湯を終えてから授かったサンバイコは東の方角に向かって祈れば安産になると、この日に勤める当家のご主人が話す。

いつもとかわりなく御湯の所作をされる巫女さん。

小幣を左右に降る。ポン、ポンと柏手を打つ。

祓えの祝詞を奏上する。そして湯の上から撒き散らすキリヌサ。

立ちあがって幣を湯に浸けて掻き混ぜる。

「この釜はひとかまなれどなるかまとおぼしめし・・・きこしめしかしこみかしこみ申す」。

大幣を左右に振って柄の部分を湯に浸ける。



「みちのふどうのまつの大明神 この御湯にのり遷し のりかわし」勧請を申す。

「・・・東では三十三国、西でも三十三国、併せて六十六国」などを述べて湯を掻き混ぜる。

勧請した幣を左手に、右手は鈴を手にしてシャンシャンと鳴らしながら左、右、左にそれぞれ一回転。

神楽を舞う。

2本の笹の葉を執って「この手に笹をもちまねき いずくの国より 天より降りたもう」と告げる。湯に浸けて上下に動かす笹の葉。

もうもうと立ちあがる湯のけむり。

「祓えたまえ きよめたまえ」と掻き混ぜた笹を拝みながら「東では天照皇大明神、南は多武峰大権現、西では住吉大明神、北では春日若宮大明神」。

それぞれ「お受け取りください」と四柱の神々の名を告げて捧げまつる。

そうして湯に浸けた笹も手にして「もとのやしろにおくりそうろう おさめそうろう おんなおれ」と告げる。

四神それぞれに捧げて舞う神楽。

先ほどと同じように左、右、左に一回転する。

笹の葉を湯に浸ける様を柏木町の人たちは「シャゴシャゴ」と呼んでいる。

履きものを履いて拝殿内に移る。

その場で神楽を舞った巫女さは参拝者の前に立つ。



「家内安全 水難盗難 交通安全 どうかお守りたまえ もろもろの穢れを祓えたまえ きよめたまえ」と、御湯で浸けた笹と鈴・幣で身体健勝を願い祓ってくださる。

御湯を終えるころには村人たちが家族連れでやってきた。

一家族ずつ拝殿前に立てば、両手で持った二本の剣を手前で互いに十字交差させながら舞って穢れを祓う。

その姿を神妙な顔つきで見る子供たち。



剣と鈴を持って参拝者の頭から鈴を振る。

シャン、シャンと音がする鈴。

その音色から巫女さんの神楽をシャンコシャンコと呼ぶ人も少なくない。

(H25.10.17 EOS40D撮影)