マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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高樋町春日神社のヨイミヤ

2016年06月23日 08時08分21秒 | 奈良市(旧五ケ谷村)へ
午後一番に春日神社下に集まった奈良市高樋町の氏子たち。

参集するのはシキジなど祭祀を務める神社役員や自治会、農家組合、評議員たちだ。

丹生町在住の新谷宮司によるヨイミヤ神事が始まる。

前日は社務所でカミキリをして大御幣を作っていた。

昨日に設えた祓いの場中央の砂盛りにサカキ幣を立てる。



まずは宮司一拝、そして祓いの儀が行われる。

祓いに身を清めた氏子たちは割拝殿中央から登った社殿前に並ぶ。

神饌所に並べた御供は4列。



中央に天児屋根命を祀る春日神社の本殿や、両側に事代主命を祀る蛭子二社殿に献饌する。

さらには瑞垣の外に大日霊命を祀る小社周りも丁重に献饌する4社の御供。

塩、洗米、酒、モチ、スルメ、コンブ、キャベツ、ニンジン、ダイコン、ナスビ、シメジにリンゴやバナナなどがある。

割拝殿の神饌所の反対側。

3人が座る円座を敷いている。



傍らに木造で建てられた仮宮が残されていた。

云十年に一度の造営事業。

本殿に奉られていた神さんは一旦、仮宮に遷される。

本殿の再建築が終われば元のお社に戻っていただく。

お戻りになられた仮宮は残すことなく撤去されるのが一般的だが、高樋町は珍しく残されていた。

ヨイミヤ神事を終えた一行は社務所の席に座る。



これより始まる直会の場の膳はブリの照り焼きにコンニャク、コイモ、ゴボウ煮物の三品盛り。

オトウトドウヤ(弟當家)が調理した食事である。

翌日のマツリはアニドウヤ(兄當家)が調理する。

2軒のトウヤ(當家)それぞれの家の味になるらしい。

ちなみに2軒の當家がアニ、オトウトになるのは年齢順だ。

昭和50年代半ばまではイリコ入りの儀式を経て氏子入りしたと云う。

前年度にフリアゲで決まった2軒が協力しあって座につく氏子たちに御供下げしたスルメとコンブを配膳する。



お神酒を注ぐのもトウヤ(當家)。

給仕が一回りしてほっとされる。

上座は丹生町の新谷宮司。

シキジとミナライはヨイミヤ神事の片づけを終えてから両脇に座る。

両側の上座は神社総代と自治会長だ。

社務所の北側の建物は参籠所。

テーブルにオードブルや菓子盛りを並べて客人待ちする女性たちは自治会役員。

明日のマツリに巡行する子供神輿の面倒もみている。

時間ともなれば万青(まんせい)の人たちが神社にやってくる。



手水をして割拝殿を登る。

四社や大師堂、庚申堂などを巡って参拝する。

参籠所は集まった万青の人たちがいっぱいになった。

万青は「万年青年」。

いつまでも健康で長寿を願った名称は東山中の大字で度々耳にする老人会名称である。

(H27.10.10 EOS40D撮影)