マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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中山町の水口まつり③

2019年09月25日 09時30分19秒 | 天理市へ
83歳のYさんが話してくれたお旅所で護符を・・。

えっ、である。

これまで何度も大和神社のちゃんちゃん祭を拝見してきたが、そのお旅所に護符を手渡すような建物はあったのか。

今の今まで知らずにいたお旅所を目指して車を移動する。

裏道を通ってお旅所に着くがお堂は見当たらない(※後日に判明)。

歯定神社はわかるが、お堂は・・。

それはともかく件の写真家が云っていた苗代田はどこにあるのか。

辺りを見渡してもそれらしき田園は見当たらない。

一歩、外してお旅所から眺める南側。

その山手側に広がる田畑である。

件の写真家に確かめたら、そこであった。

気持ちが良いほどに広がる風景にまずは感動。

苗代田に水を張っているところもあるので期待ワクワクだ。

ここは中山町集落の北側にある景観地。

つい先ほどまで、苗代作りをしていた地は集落の南側。

北と南では風景が一変する。



歩いていけばいっぱい見つかる苗代田。

いずれもイロバナを添えて護符を祭っているこの日に拝見した水口まつりの数は7カ所にもなる。

昨日か、今日かわからないが、とにかくイロバナが綺麗で新鮮な姿。



どれもこれも写真に撮りたいが・・・できれば、この懐かしい風景も入れて撮っておこうと思ってシャッターを押す。

中山町は現在150戸の集落に拡がった。



大字の元々は旧村。

50軒の集落であったが、いつしか他所から来られて増えた新興住宅に囲まれるようになったというYさん。



また、中山町の一部というか、集落西の縁にある古代の道がある。



いわゆる山の辺の道である。

その道に必ずや通る神域がある。

中山町の氏神さんを祀る歯定(はじょう)神社である。

その歯定神社で水口まつりに立てる護符をいただく。

小正月の1月15日はとんど焼き。

すぐ近くにある歯定神社・観音堂に参って6人組の当番が、予め版木で摺って朱印を押して作っておいた護符を授かる。

歯定(はじょう)神社は橿原市内にもあるが、ここ中山町は4月1日に行われる大和神社のちゃんちゃん祭のお旅所とする重要な役割を担う地である。

大和神社周辺地区に新泉、兵庫、名柄、岸田、成願寺、三昧田、萱生、中山、佐保庄からなる9カ大字がある。

4月1日に行われる大和神社のちゃんちゃん祭にいずれも出仕される各大字である。

その大字の一つに中山町がある。

中山待ちの氏神さんはちゃんちゃん祭の行幸に出向くお旅所にもなる歯定(はじょう)神社である。

中山町からいえば大宮になる大和神社に御田祭がある。

2月10日に行われる御田祭に早乙女たちが広庭で松苗植えをする所作がある。

その松苗である。昔は自然に山に生えていた赤松だった。

いつしか虫に食われて松枯れ症状で全滅した。その後、松苗は黒松に替わった。

今では松苗に利用する松は雄松に限られる。



昔はその松苗の根元を括っていたのは藁紐だった。

今では紙片を巻き付けてセローテープ留め。

時代とともに変容している松苗であるが、いつしか種籾を包んで松苗に取り付けていたものも消えたようだ、とYさんが話してくれた。

(H30. 5. 4 EOS7D撮影)