
まるで何も知らないアルバムを拾ってみたくなることが時々あります。新譜であれば何かしらの情報がありますから、これは中古屋さんでの話です。このアルバム人の名前だと思われるもの意外、まるで解りません。タイトルが英語ではないこともわかります。それ以外には表には別の表記もあるし、とてもぶ厚いジャケットです。なぞめいてとても惹かれます。
リーダーがGuillermo McGillというドラムスの人で、アルバムタイトルが“Los sueños y el tiempo”ということが解りますが意味は解りません。
思い切って拾ってみました。
表紙にDESDE MARIA ZAMBRANOとあり女性だということがわかり、幾枚かの写真などがノートにありますが、意味はわかりません。DESDEがつくと・・からという意味のようです。

そしてなんとスペイン語と思われる文字で81ページに及ぶノート、後半は章立てみたいになっていますので、中篇の小説でしょうか。謎です。

曲のタイトルごとには彫刻の写真と詩のようなもの、なんとも不思議なアルバムですが芸術的です。ジャケットをあちこちひっくり返しながら聴き始めました。

1曲目“Oriental”という曲のでだしドラムスの刻むリズムにテナーと不協なピアノ、アバンギャルドかなと一瞬思いましたが違うようです。曲名通り少しエキゾチックにリズムがゆれ、バンドネオンもメロディアス、テナーがストレートに吹いて主流の演奏です。
2曲目“Paloma”物憂い感じのテナーの音で始まりますがストレートでいい音色です。それに続くピアノが透明感があり美しい、ベースもピッチのしっかりしたいい音です。ドラムスは意外とオーソドックスで、思索感の漂う良い曲です。ECMを少し温度をあげた感じです。
3曲目はスペインのcajonから始まりバンドネオンのメロディ切れの良いソプラノサックスが入ってくるカッコイイ演奏です。終盤のバタバタドラムスもいい感じ。
4曲目はチェロから始まりますが、これがうまい、、ヴァイオリンとバンドネオンをバックにcanteではっきりスペイン産と解りました。この曲の弦の響きの美しい、ヨーロッパのよさが出ています。
5曲目は低いベースラインから始まり、インリズム、ピアノが独立したモーダルなメロディーを演るとテナーが徐々にモーダルになってきて、J・コルトレーンを思わせる音色でとプレーそこまで激しくないリズムにのって気持ちよく聞けます。
6強目はバンドネオンの哀愁あるメロディからフラメンコギターに移っていく面白さ、テナーはコルトレーン以後の聴いていていいところが出ている曲にうまくマッチしたスウィートな曲。
7曲目はタイトル曲でモーダルなテナーとピアノの響きですが、このピアノはGeorge colliganでさすがにjazzしています。スペインギターと声をつぶした女性のcanteもいいアルバムの雰囲気を象徴しています。
8曲目は静かなピアノとバンドネオンが美しい曲。
9曲目は少し変わったアフリカンなリズム続き笛の素朴なメロディに逆にモダンなピアノとベースがからむ、これもおもいしろい曲です。
アレンジがしっかりして、雰囲気がしっかり統一された、スペインの風が渦巻くす晴らしアルバムでした。
これほど素晴らしい演奏ですので、どこかで話題になっていると思うのですが、前に聴いたフラメンコとjazzとの交流のアルバムがありました。そこら辺と近いので調べてみました。
http://blog.goo.ne.jp/monakasm/d/20070320
やはりメンバーにいました。コリガンがいますが、そのほかに素晴らしいテナーJulian Argüelles とベースのJavier Colinaがこちらは後の演奏でした。
ピアニストのチャノ・ドミンゲスはショップで試聴したことのあることを思い出しましたが、いいピアノです。ヴィーナスからも1枚出ているようですが別のをチョット探してみるかもしれません。バンドネオンのロドルフォ・メデーロスもメロディアスでありましたが1940年産まれの重鎮です。
何も知らずに拾った一枚は思いのほか素晴らしい一枚で、私の棚にはお友達もいましたが、なお謎が残るアルバムであります。
Los sueños y el tiempo / GUILLERMO MCGILL
Julian Argüelles tenor,soprano saxhone fluta
Rodolfo Mederos bandneon
Chano Domínguez piano
Javier Colina contrabajo
Efraín Toro percusion
Eva Durán cante
Raúl Rodríguez tres cubana guitarra
Juan Diego guitarra flamenco
George Colligan
Victor Ambroa violin
Jorge Pozas violoncello
Paloma Alfonsel baile
Guillermo McGill bateria cajon dehouka
1 Oriental
2 Paloma
3 El sueño creador
4 Nana de luna
5 Metáfora del corazón.
6 Alegrías del río de la plata
7 Los sueños y el tiempo
8 Sobre el alma
9 Vida