
昔スウィングジャーナルが出ていたころは年に1度だけ年末号を買っていた。これにはその年にでた国内版と輸入盤をまとめたものがついていたから、年末にそれをみて買い忘れをチェックなどしていた。
廃刊になってそのデータも使わなくなったけれど、「JAZZ LIFE」で同じことをしていて、ちょっとデータ料はさびしいけれど買ってチェックをしてみました。
それで数日前ショップにいってきました。買ったのは新譜に近いもの5枚と中古品3枚、雑誌資料からえらんだのがこの1枚です。
パヴロ・シーグレルのところで結構聴いているブエノスアイレス生まれのギタリスト,キケ・シネシとアルトのチャーリー・マリアーノとのデュオだそうで、まるで知らなかったけれどenjaでの2000年録音、ジャケットはずいぶんと変わったみたいだけれど内容からすると、このジャケのほうがいいかもしれません。
マリアーノが4曲、シネシが8曲でそれぞれの魅了が絡み合って一つの人格の様に昇華した存在感あるアルバムです。
シネシの静かでラテンアメリカン風景のようなギター・ソロからはじまって、それに対してその風景の中で心情を吐露するようにマリアーノのアルト・サックスが歌い始めます。
このデュエットの基本はシネシのギターが懐のひろいギターメロディではじめて、そこにマリアーノが、ほとんどすべてアドリブで吹いているのではと思うような自由なインプロをくりひろげます。
シネシはある部分では高音のバイオリンのように、ある部分では通奏低音のような下支えに変化をつけて、インプロヴィゼーションを繰り広げるのは相当素晴らしい世界ができているのです。
最初の4曲がシネシのこの録音のための曲でしょうがギターをべーす世界にとても自由にマリアーノが吹くのです。
5曲目はマリアーノの曲だけれど、シネシのアルペジオに始まってマリアーノのメランコリックなバラッド、題名は「ザ・レイディ」リイシュー・アルバムではサブタイトルになっているみたいですが、これがジャケになったのでしょう。結構アルゼンチンとねっとり絡んでおもしろい。
6曲目、フォルクローレ的nアルゼンチンの山を眺めているような曲。
7曲目はマリアーノのボッサ曲、聞いていると渡辺貞夫を思い浮かべるのは根が一緒だからでしょう。
とても上品なシネシのギター・ソロが素晴らしい。
このアルバムを聴いていると、スペイン・音楽との融合を図ったマリアーノの「SPANISH IMPRESSION」を思い出します。それでついでに棚から引っ張り出して聞いているのですが1997年の録音、日本のM&Jから出て当時受け狙いだろうと対して評価しませんでしたが、このシネシのアルバム作成をみるとわからないことがなくて、再評価かもしれません。
ということで今は「スパニシュ」がなっていますが、こっちのアルバムの9曲目はフォルクローレのケーナのようなアルト・メロディ、トラデショナルのようなアルゼンチ・メロディです。
ずっとギターから始まる演奏はこの曲だけマリアーノのサックスから、曲名は「チャーリーのタンゴ」ジャズの香りもするのです。
enjaのアルバムで名作といって出るアルバムは結構はずれがないのでこのアルバムもそう書いてあって実に知らなかったけれど見つけてよかったと思うアルバムなのでした。
真面目に探して井¥位つけた一枚なので、そしてまだ皆さん入手が可能だと思うので、シネシの感受性の深い対応力とその中でミュージシャンとして自由にそして、シネシに統率をもって対応したマリアーノは、持っていたスペイン音楽とは一段と違って、自由に南米の空を飛翔する二人と思うのです。
Tango Para Charlie / Charlie Mariano & Quique Sinesi
Charlie Mariano(as,fl)
Quique Sinesi(7 string Spanish-g,charango,piccolo,g)
Recorded at Hansa Studio,Bonnin,October 29&30,2000
1.Berliner Tanguismos,Part I
2.Berliner Tanguismos Part II
3.Berliner Tanguismos Part III
4.Berliner Tanguismos Part IV
5.The Lady
6.Faluseando
7.Zephyr
8.Tarde De Lluvia En Koln
9.Alta Paz
10.If Only
11.Tango Para Charlie