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読書 ピーター・へイニング編「死のドライブ」(1)

2007-04-10 12:44:50 | 読書

 訳者あとがきから編者紹介を引用すると“ピーター・へイニングは、イギリスの著名なアンソロジストであり、1960年代から今日まで、40年近くにわたって着実に仕事を続けている大ベテランである。特に恐怖小説分野では、埋もれた作品を発見して紹介するその手腕と、ノンフィクションなどもふくめればすでに編著の点数が百冊を優に越えるのではないかといわれる多産ぶりは、つとに知られるところだ”そしてこの本には、19編の著名作家の短編が収められている。

スティーヴン・キング「トラック」

 トラックが意思を持って乗用車や人間に襲いかかってくる。そのトラックは、マック・トラック、ヘミングウェイ、レオなどのトレーラートラックだ。
 マックというのは映画でよく見る八輪か十輪の大型車ではないだろうか。本書の記述を借りれば“いまそれらのトラックが、トラックサービスエリアの駐車場に停まり、ネコ科の大型獣がごろごろ喉を鳴らすような、低いアイドリングの響きをあげていた”

 食堂に避難した四人の客と食堂の係りは、なす術もなく駐車場を凝視するしかない。暫らくすると、トラックのホーン音が断続した。客の若者がモールス信号だといい、トラックが給油を要求しているという。このまま放置すれば燃料がつきて死に体になる筈だった。ところが、そうはならなかった。
 ブルドーザーが怒り、建物を壊し始めた。客たちは、身の危険を感じて、交代でガソリンや軽油を給油し始める。トラックは延々と道路に連なっていた。そして“二機の飛行機が、暮れなずむ東の地平線をよぎって、くっきりとした銀の飛行機雲を引いて飛んでゆく。あの中に人間が乗っていると信じることが出来たら、どんなにいいか”という慨嘆で終わる。

 どうしてトラックが意思を持ったのか。そこのところは明確にしていないが、コンピューターの進歩は、これらを否定できないところまで来ているということを、暗示的に示しているのだろうか。確かに大型のトラックというのは、ある種の恐怖を表象しているのも確かだ。

 著者のスティーヴン・キングをウィキペディアから引用すると“1974年に長編「キャリー」でデビュー。「ショーシャンクの空に(原題刑務所のリタ・ヘイワース)」「グリーンマイル」「スタンドバイミー(短編小説The bodyの映画化作品)」など著作の多くが映画化、TV化されている売れっ子作家。