ハリー・ボッシュは、ロサンジェルス市警未解決事件班に復帰した。相棒のキズミン・ライダーとともに、17年前に起こった高校生レベッカ・ヴァローレン殺しの事件にとりかかる。
まずファイルの熟読玩味することから始める。というのも新しい事件は、死体があり検視が行われる物理的な事件現場がある。古い事件は、鼻がむずむずするほど埃を被った殺人調書ファイルがあるだけだ。
検屍所見、捜査官要約報告書、火器分析報告書など詳細に語られるが、これらの部分は気をつけないと集中力を欠きやすい。それが済むと動きにリズムが出てくる。被害者の親族や友人、教師などからの再聴取。
捜査線上に浮き上がった容疑者、その容疑者が殺される事態となり急転して意外な犯人にたどり着く。
緻密なプロットと手抜きのない描写は相変わらず読む者を惹きつける。ところで、この本を読んでいるときいわゆるロス疑惑として騒がれた27年前の妻殺し事件の容疑者とされた三浦和義がサイパンで逮捕された。
そのニュースが頻繁にテレビを賑わせているが、ロス市警の本部長ウィリアム・ブラットンやリック・ジャクスン刑事の写真も新聞やインターネットで公開されている。
プラットン本部長
ジャクスン刑事
このプラットン本部長やジャクスン刑事には、著者から謝辞が贈られている。三浦和義逮捕で偶然謝辞の相手方がリアリティを持ったのも初体験だった。
それにこの未解決事件班は、ロス市警で実在し名称は「コールド・ケース班」といい、市警の503号室に六人の刑事と一人の管理職が所属しているようだ。それにしても少人数の捜査班から狙われた三浦和義も不運を嘆くしかないか。ロス市警もよほど起訴に自信があるのだろう。追って、3月6日読売新聞によると捜査員は11人いるようだ。