2001年9月11日の世界貿易センターツイン・タワーが航空機による自爆テロで崩壊する事件を結末に、1996年7月17日トランスワールド航空(TWA)800便墜落事故にまつわる謎が語られる。
実際のところこの事故は、燃料タンク内残存燃料の引火・爆発とされている。しかし、過激派の凶行や地対空ミサイルの攻撃の目撃談もあって不透明な幕引きに終わっていた。
それを題材に一人の男、連邦統合テロリスト対策特別機動隊契約捜査官ジョン・コーリーは、事件発生から五年後調査を密かに進めていく。それを察知したCIAやFBIの脅迫にもめげず、陰謀と隠蔽を暴き、求める真実と正義の完遂を目指す。
ところが作品は上下巻千ページに及ぶが、あまりにも詳細に記述されているので読んでいてかなりだれてくる。ネルソン・デミルは好きな作家であるが、最近は少々活気に乏しい。まあ、人生にも旬があるように、著作活動にもピークが存在するのだろう。これはどんな分野にも言えることではある。当分はネルソン・デミルから遠ざかっていよう。
著者は、1943年ニューヨーク生まれ。1985年ヴェトナム戦争をテーマにした軍事法廷小説「誓約」で注目を浴びる。その後「ゴールド・コースト」「将軍の娘」「プラムアイランド」などの話題作がある。