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読書 ジェイムズ・N・パウエル「エロスと精気(エネルギー)」

2010-04-12 09:33:43 | 読書

           
 現代人のセックスの性急さにスローセックスを勧めているように思われる。挿入と射精がすべてで、性器のオーガズムのみを求めていると言う。アマゾンでのこの本のレビューを読むと、ほとんどの人が性愛指南に共鳴している。
 そして本の内容は、紙面の多くは中国のタオイズム(道家思想・道教)やインドの性愛から西欧の性意識を学術的な考察で占められている。それらをもとに、現代人に指南している性愛術はかなり効果があるようだ。前述のレビューにも認めている人がいた。
さて、その性愛術を引用してみる。(本書のP164)
 基本的な考え
(1)男女が互いの存在を存分に意識していることが、二人の間の生体電子の流れを促進する。(二人の間に愛の存在が不可欠)
(2)一度刺激を受けた生体電子の流れは、二人の間を伝導して一つの場に融合するのに最低二十七分を要する。
(3)キスや愛撫で刺激された流れは、二人の間を行きかいながら唇、乳首、胸、腕、脚を流れ、完全なくつろぎと充実の状態をもたらす──その際、挿入や通常の意味でのオーガズムは必要ではない。
(4)生体電子の流れはペニスとヴァギナに流れる傾向があり、二つの性器を交接して少なくとも二十七分間動かさずにおけば、二人の流れが融合することになる。
(5)通常の動きをともなった挿入でも、たとえ男性が早漏気味の射精をしても、ペニスを少なくとも二十七分ヴァギナから抜かずにおくと、生体電子の流れが融合して、男女とも  完全なくつろぎを得ることが出来る。(6)生体電子の流れが融合して一つの場になると、挿入をもう一度という欲求は五日間程度は生じない。
(7)性急な性交,生理、排卵によって女性の体の生体電子は昂進する。これが緩和されないと、通常の細胞活動が阻害され、病気を引き起こすこともある。
(8)愛情、脅え、怒りといった心理的要素は生体電子の力と影響を与え合う。愛があれば、流れは闊達になるが、脅え、怒りなど否定的で後ろ向きの感情は流れを阻む。
  
 この中の生体電子については気にしないでよいが、事前のトレーニングが前提のようだ。 そのトレーニングと言うのは、鹿の運動といって括約筋を鍛えることだ。

 女性の場合、膣口周辺の恥骨尾骨(PC)筋を刺激する。このPC筋は、ヴァギナの性感を高め、オーガズムの性感も高めるのだという。このPC筋の場所は、放尿を止めるときに引き締まる筋肉である。放尿を止める訓練を何度かしてみれば、PC筋がどんな感覚の部分か知れるはずだ。そこで、体を楽にして仰向きに寝て、指をヴァギナに挿入し、PC筋を縮めてみる。筋肉で指を締める感覚になってみる。このときはそれほど強く締められないだろうが、少なくても六週間この鹿運動を続ければ、この筋肉はかなり強くなるはずだ。

 男性の場合、放尿時に一度止め再び放尿が始まるとまた止めるときの筋肉ですぐ分かる。放尿していない時にそこを締める訓練をするのである。その筋肉を締めている時、ペニスと陰嚢が体の中のほうに引き上げられる感じがするはずである。
 この鹿運動は、男女とも一度に十回連続して締めと緩めるを行うが、それを一日三度行う。速度は速くとゆっくりとあるが、両方を習得する場所はどこでも出来る。寝てても電車の中でも。

具体的なテクニックを引用しながら補足してみよう。
 まず、結合した二人のエネルギーが自由に流れるようにする。二人で一緒にシャワーでも浴びて体を清潔にする。このとき間違っても性交はしない。この沐浴は、生体エネルギーの交換効率がよくなる。緊張を解き体を楽にする。
 私が思うに部屋の照明を暗くして二人の裸体が光の影で揺れ動くのがいいと思う。今流行のLEDのローソクの炎のように揺らめくのが効果的か。お互いが体をさすりあう。優しくソフトに。体にローションを塗ったりアルコールやドラッグはいけない。同じようにたっぷりとした食事もいけない。軽い食事の数時間後がいいだろう。
 この性的合一は数時間続くので邪魔が入らない環境を整える必要がある。同居人が多いと頭を悩ますことになる。電話機をはずして置き子供は学校なり映画に行っているのがいいが。夫婦で旅行するしかない場合もあるだろう。子供たちが巣立った高齢者で二人暮らしなら理想的だろう。私は高齢者のセックスにぴったりな気がする。

 話を続けよう。二人の体から緊張がとけてきたらキスと愛撫を非常にゆっくりと楽な気持ちで行っていく。女性が濡れてきたら挿入が絶対的ではないが、挿入したければゆっくりと入っていってじっとしている。男性の勃起力がなくなるような感じになったとき、あるいは女性に性感がなくなるとき動きが必要になる。オーガズムとして爆発させるのではなく心を穏やかにしてエネルギーの中に身を任せるのである。三十五分ほどこの抱擁を続ける。
 全身にオーガズムの感覚が押し寄せる。男性の場合射精をしないまま相手と一体になって全身がさざ波のように震える。震えが収まったら最低三十分は相手と楽な気持ちで抱き合っていることが大切な点である。
 
 セックスの場の方法を存分に経験してもらうために、おさらいをしておこう。前戯として最低三十分、欲得抜きのキスと愛撫をし合うことが必要である。それでエネルギーが目覚めて大きくなる。次いで、二人は一緒に横になって動かず、注意力は保ちながらも安らかにしておく。
 性器は挿入してもよし、体を密着し合うだけでもいい。この抱擁を何時間も続ける。二人の体が震えてきたら、そのままにまかせ、そののち少なくとも三十分は抱擁を続ける。
 はじめの二・三日、あるいは数ヶ月は、途中で通常のセックスを求める場合もあるだろう。それはそれで従来の習慣だから構わない。しかし、オーガズムののち少なくとも三十分は抱擁を続けるべきだ。慣れるまでかなり時間もかかるかもしれないが、必ずいい方向に向かうという。
 このタイプの密着はかなりの時間持続するから,これにもっともふさわしい体位は、男女はベッドでそれぞれ楽に感じる側に寝る。二人の上半身は離しておき、骨盤の部分はくっつけ合う。
 女性は仰向けになり、男性は体の右側をベッドにつけて身を起こす。足は互いの体にからませる。男性の左足は女性の足の間に割って入り、女性の左足は男性の腰の左に乗せる。その姿勢で二人は三十分以上、身動きせずに横になっている。
 そののち男性は挿入してもいい。ただし、さらに三十分は体位は同じままにしておかなくてはならない。その三十分の間に射精したらさらに最低三十分その体位を保つ。二人のエネルギー量が均等になるのにその時間がいるからだ。
 以上簡単な説明だが、かなり重労働の気がする。果たして実行できるのか不安が先走る。妻を説得できるのか、また我が家に猫がいてうろつくので気が散るかもしれない。 いずれにしても実行した人は、お互いの愛を確かめられて幸せだと言う。セックスレスの人が、 週末は部屋に閉じこもりっきりだとのろけていた。羨ましいことではある。