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ロンドンのロシア・マフィアと助産婦との奇妙な交流が描かれる。薬局に現れた若い女がカウンターの前で昏倒する。足元に夥しい出血が見えた。搬送された病院で彼女は死んで胎児は助かった。
担当の助産婦アンナ(ナオミ・ワッツ)は、彼女の持っていたロシア語で書いた日記を自宅に持ち帰った。アンナもロシア系の生まれだが、ロシア語は分からない。その日記に挟まっていたレストラン“トランス・シベリアン”の名刺がすべての始まりだった。
このレストランこそロシア・マフィアの経営する隠れ蓑なのだ。そこには親父のボスとその息子キリル(ヴァンサン・カッセル)、運転手のニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)もいた。
この狡猾で残酷なマフィアに翻弄されながらも、生まれた赤ん坊を抱きしめることが出来た。それも不思議な男ニコライの助けがあったからだった。アンナが「どうして助けてくれたの?」と言う問いには答えなかった。ネタバレになるがニコライは、当局の潜入捜査官だった。
この映画の殺しの道具は、カミソリやナイフで喉を掻っ切るというなんともおぞましい場面に加え、サウナでニコライが暗殺者と派手な立ち回りを演じる。しかも、ニコライは素っ裸で一物が躍動する。滅多に映画では観られないシーンだろう。不思議な味わいの映画だった。
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ところでこのマフィア(Mafia)という言葉の由来については、1282年フランス王族のイタリア住民からの強引な食料や家畜の調達に怒ったシチリアでの暴動事件で、「Morte Alla Francia Italia Anela!」フランスに死を、これはイタリアの叫びだ! このスローガンの頭文字を取ったものという風説があるらしい。
監督
デヴィッド・クローネンバーグ1943年3月カナダ、トロンと生まれ。’86「ザ・フライ」が印象的。
キャスト
ヴィゴ・モーテンセン1958年10月ニューヨーク市マンハッタン生まれ。
ナオミ・ワッツ1968年9月イギリス、ショアハム生まれ。
ヴァンサン・カッセル1966年11月フランス、パリ生まれ。