インドのムンバイでパパ(オム・プリ)一家がレストランを経営していた。選挙で敗れた支持者の暴徒の焼き討ち合い、レストランと逃げ遅れた母を失った。
息子のハッサン(マニシュ・ダヤル)の料理の先生は母だった。「ウニの殻の中には美しい生命そのものがある。料理は生き物の命を奪い、幽霊を生む。幽霊を作るのが料理。食材にはすべて魂があるの」
その母の教えから五感の目覚め、味の深さを学んだハッサン。パパに連れられてイギリスから料理の本場フランスへ。そして流れ着いたのは、田舎にあるマダム・マロリー(ヘレン・ミレン)が営む、そのカテゴリーで特に美味しい料理を提供するミシュラン1っ星フランス・レストランの真ん前だった。
そこでインド料理店を始めようという。当然いがみ合いになるが、フランス・レストランの副シェフ、マルグリット(シャルロット・ルボン)と知り合ったハッサン。そのマルグリットから貰った古いフランス料理本を参考に基本の5っのソース、トマト、ヴルーテ、オルランデーズ、エスパニヨール、ベシャメルの試作品をマルグリットに試食してもらった。うなずいて「合格」だった。
フランス料理のソースは、作り方は多様性があってシェフによって違いがある。しかもソースの出来がそのレベルを表しているといえる。従って、インド料理のスパイスの使い方次第では、素晴らしいものが出来ることになる。
チーフ・シェフ、ジャン・ピエールの人種差別的インド料理店への放火で解雇。同時にフランス料理店とインド料理店のいがみ合いは終わる。そしてハッサンをスカウト。
ハッサンの努力によって、遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理を提供するとしてミシュラン2っ星レストランに昇格。こうなるとパリは、放っておいてはくれない。ハッサンは新鋭の一流シェフとして人気が急上昇。
ところが育ててくれたパパやマダム・マロリー、それにマルグリットが気になって田舎に帰ってくる。そこでマダム・マロリーのレストランを、そのために旅行する価値がある卓越した料理を提供するミシュラン3っ星レストランを目指すことになってめでたしめでたし。
フランス国家の国是、自由、平等、友愛が渾然とした心温まる映画だった。スティーヴン・スピルバーグ、アフリカ系アメリカ人のテレビ司会者で有名なオプラ・ウィンフリーも製作に加わっている。
監督
ラッセ・ハルストレム1946年6月スウェーデン、ストックホルム生まれ。
キャスト
ヘレン・ミレン1945年7月ロンドン生まれ。
オム・プリ1950年10月インド生まれ。
マニシュ・ダヤル1983年6月南カリフォルニア生まれ。
シャルロット・ルボン1985年9月カナダ、モントリオール生まれ。