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あまりにも身近すぎて……「ウィークエンドはパリで ’13」劇場公開2014年9月

2015-05-29 16:39:05 | 映画

               
 結婚30年目を記念して新婚旅行の思い出の地パリを訪れたニック(ジム・ブロードベント)とメグ(リンゼイ・ダンカン)の夫妻。新婚旅行で泊まったホテルは、様変わりしているように見える。狭いし壁の色も変わっていて気に入らないとメグ。

 タクシーに飛び乗った二人は、ようやく着いた高級ホテル。だが満室のつれない返事。ロビーに座ってこれからのことを話しているとフロントの女性が「スイートをご用意できることになりました。ブレア元首相も泊まった部屋です」メグは一瞬考えてスイートに決定してしまった。うろうろするニック。

 この象徴的な二人の関係は、会話においても態度のおいてもメグがリードしている感が強い。世の中の老夫妻を病院なんかで見ていると、奥さんのほうがかなり元気で夫をリードしている場面をしばしば見ることが出来る。

 ランチでレストランを決めるのも、ニックの音を立てる食べ方に文句を言うのもメグ。私の両親も例外なくこのような状態だった。

 そりやそうだろう。勢いよく燃え上がった情熱の炎も、やがてローソクの火のように徐々に小さくなっていく。その炎は燃え尽きることなく、熾き火となってこのパリのホテルの一室で燃え上がるの待っている。

 ニックは燃えるがメグは眠いとか言ってやんわりと熾き火を消そうとする。年を考えないとねえ。観光で長い階段を上って息が切れて「やっと着いた」なんて言っているんだから。こういう場面を見ていると自分のことのようで、ちょっとしらけ気分になる。

 いずれにしても、小さな諍いを乗り越えてハッピーな二人に戻るというハッピーエンド。ただ気になるのが無銭飲食で脱兎のごとく逃げる場面や、ホテルからの高額な宿泊代などの支払いをしないでバイバイとは。なんでこんなエピソードを入れたのかよく分からない。ニックは大学教授、メグも教師という知識人なのに。

 ロンドンからパリまで、国際高速鉄道ユーロスターで約2時間の所要となると、ホテルが満室なら「家に帰ろうか」という会話もあった。新幹線で関西へ行くのと同じようなものだ。イギリスからフランスまでは、気楽な列車の旅というわけ。

 それにしてもニック役のジム・ブロードベントとメグ役のリンゼイ・ダンカンは、老け過ぎていないか。ブロードベント66歳、ダンカン65歳。仮に晩婚で30歳で結婚したとして、二人の年齢は60歳前後だろう。ブロードベントの手の甲にはそばかす状の斑点が多いし、ダンカンの口元はシワが多い。いまどきの60歳はそういう感じがないと思うが。もう少し若い人がよかったかも。欧米人は老けるのが早いのか。
          
          
監督
ロジャー・ミッチェル1956年6月南アフリカ生まれ。

キャスト
ジム・ブロードベント1949年5月イギリス生まれ。
リンゼイ・ダンカン1950年11月イギリス生まれ。
ジェフ・ゴールドブラム1952年10月ペンシルヴェニア州ピッツバーグ生まれ。