「その12、眉間のシワ。眉間のシワはミスをしたか、あるいは不安な気分のときだ。集中して考えているときに表れることもある。大抵の場合、疑ったり弱気になったりしている。その13、鼻を触る。さっと素早く鼻を触る仕草のことだ。人差し指で鼻先を……」
カーオーディオで再生している「ポーカーの法則200」を聞いて気持ちを落ち着かせるジェリー(ベン・メンデルソーン)。そしてゆっくりとカジノに入っていく。
所はアイオワ州ダビューク、そのポーカー・ゲームで知り合った二人の男。ギャンブルで借金だらけのジェリーと金が有り余っているわではないが節度をわきまえているカーティス(ライアン・レイノルズ)。
借金だらけのジェリーではあるが、一応不動産斡旋の職には就いている。若いカップルを案内して家の中を自由に見せているときも、カーティスの言うドッグ・レースが気になって仕方がない。
カーティスのほうはまったくの浮草人生。この二人は人生設計なんて考えたこともない。ジェリーには娘がいるが離婚している。どうやらまともな仕事に縁遠い二人の男は、カジノめぐりの旅に出る。
行先はミシシッピー州、テネシー、メンフィスやチュニカ。ミズリー州セントルイスにルイジアナ州ニューオーリンズ。
途中カジノでコンパニオンをしているカーティスの妻シモーヌ(シェナ・ミラー)のところへちょっとお邪魔する。カジノでちょっと稼いで。今夜は王様気分。
ジェリーは、バーでシモーヌと同じコンパニオンのヴァネッサ(アナリー・ティプトン)とロックン・ロールを踊る。夜更け、ヴァネッサの部屋でヴァネッサは見事な手品を演じ、ジェリーは、ピアノでロマンティックは曲を弾く。
社会の底辺で出会った男と女。
「俺は借金だらけだ」とジェリー。
「お金のことを聞いていないわ」と返すヴァネッサ。
ジェリー「君に話してみたかったのさ」
ヴァネッサ「わたしは人生で何かを達成したい。これもあなたに言ってみたかった」
観ていていい雰囲気なので(早くキスしろよ)と思うが、そうはならなかった。ジェリーの優しさが思いとどまらせた。ラスト・シーンでヴァネッサと抱き合ってハッピーエンドを予想したが、これもハズれた。
この映画はギャンブル一筋。サイド・ストーリーの恋愛なんて単なる点景に過ぎない。だからイケイケドンドンで、最後の最後で大勝負が待っている。この勝負に勝ち50万ドルを手にした。折半するとそれぞれが25万ドルだ。
ここで二人の性格がはっきりする。カーティスは、妻シモーヌからの携帯電話を無視して、美人の受付嬢に「ペルーに行かないか?」とモーションをかける。
一方ジェリーは、車のサンバイザーに娘の写真を差し込む。私の期待したロマンティックな結末ではなかったが、ニューヨークとは違う生のアメリカの雰囲気が漂い私は充分楽しんだ。
アメリカと言えばカントリー・ミュージック。BGMは26曲以上で彩られている。それに二人の俳優ライアン・レイノルズとベン・メンデルソーンの個性的な演技で映画は水準以上の出来栄え。
日本で劇場未公開が信じられないが、おそらくカントリー・ミュージックが馴染みでないからなのだろう。私はカントリー・ミュージック大好き人間だから嬉しい限り。どんなもんかな? と思う人はこちらで聴いてみて下さい。1936年生まれのトム・T・ホールの挿入歌「Famous in Missouri」をどうぞ!
監督
ライアン・フレックとアンナ・ボーデンの共同制作 ニューヨーク大学の同窓生。ライアン・フレックは1976年9月カリフォルニア州生まれ。アンナ・ボーデンの出自は分からない。
キャスト
ライアン・レイノルズ1976年10月カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー生まれ。2015年「デッドプール」でゴールデングローブ賞男優賞、放送映画批評家協会賞にノミネート。ベン・ベンデルソーン1969年4月オーストラリア、メルボルン生まれ。2015年本作でインデペンデント・スピリット賞にノミネート。
シェナ・ミラー1981年12月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
アナリー・ティプトン1988年11月ミネソタ州ミネアポリス生まれ。
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