1988年のアメリカ合衆国大統領選挙の民主党の予備選で起こった実話。それを2018年に映画化する意図は何だろうか。約30年前の話なんだが。
1988年民主党の予備選候補者は、ブルース・バビット(前アリゾナ州知事)、ジョセフ・バイデン(デラウェア州選出上院議員)、マイケル・デュカキス(マサチューセッツ州知事)、リチャード・ゲッパート(ミズーリ州選出下院議員)、アルバート・ゴア(テネシー州選出上院議員)、ゲイリー・ハート(コロラド州前上院議員)、ジェシー・ジャクソン(市民活動家・黒人)、パトリシア・シューレーダー(コロラド州選出下院議員)、ポール・サイモン(イリノイ州選出上院議員)。
このうちゲイリー・ハート(ヒュー・ジャックマン)が問題の人。1987年初めの時点で出馬候補の中では、一歩先行し有力候補(フロントランナー)とみられていた。彼の女性問題を嗅ぎつけたのは、フロリダのマイアミ・ヘラルド紙だった。
ゲイリー・ハート選挙事務所の選挙参謀ビル(J・K・シモンズ)は、「隠れるのはやめよう。コメントが必要だ。単なるゴシップではない。根深いゴシップだ」しかし、ゲイリーは聞く耳を持たなかった。結果は支持率の急落とともに、彼は脱落した。
男の政治家にとってこの女性問題ほど厄介な問題はない。女性の政治家でも異性関係が派手なのもいるはずがあまり報道されない。ちょっとこれが解せない。
有名なところでは、クリントン元大統領だろう。ホワイトハウスでモニカ・ルインスキーという実習生との関係が発覚した。よりにもよってホワイトハウスということで品位を疑われた。弾劾裁判まで持ち込まれたが、上院で有罪評決に必要な三分の二に達せず罷免を免れた。この大統領、中国に9日間も滞在したこともあって、ハニートラップに引っ掛かり鼻の下を長くしていたのではないかと私は推測する。来年の大統領中間選挙には、妻のヒラリーの名前がないのは落日のクリント家かな。
ちなみに相手のモニカ・ルインスキーも45歳になり、実業家としてそれなりに幸せそうなのである。大統領を狙うしたたかな女は確かだろう。
そしてもう一人、現職のトランプ大統領。この人は指摘されると、それはフェイクだと反撃する。それでも支持率40%は下らないから、国民の大多数は女性問題を気にも掛けていなのだろう。こういう現状をこの映画がいさめていると言っていいのかもしれない。評論家からは賛否両論の評価。一見の価値があるのかは疑わしい。2018年制作 劇場公開2019年2月
監督
ジェイソン・ライトマン1977年10月カナダ、ケベック州モントリオール生まれ。2009年「マイレージ、マイライフ」でアカデミー賞監督賞と脚色賞にノミネート。
キャスト
ヒュー・ジャックマン1968年10月オーストラリア、シドニー生まれ。
ヴェラ・ファーミガ1973年8月ニュージャージー州クリフトン生まれ。
ケイトリン・デヴァー1996年12月アリゾナ州フェニックス生まれ。
J・K・シモンズ1955年1月ミシガン州デトロイト生まれ。